日本大百科全書(ニッポニカ)「作図」の解説
作図
さくず
与えられた条件を満足する図形をつくること。普通、初等幾何における作図というのは、定規(定木)(じょうぎ)とコンパス(円規)による作図のことであって、定規は2点を通る直線を引くことに、コンパスは与えられた点を中心として与えられた半径をもつ円をかくことに用いられる。そして、2直線の交点、直線と円の交点、円と円の交点を使って要求にあう点、直線、円、三角形などを作図する。作図の問題の理論的な扱いは、次の四つの段階に分けられる。
〔1〕解析 求めるものが得られたとして、それを作図する手掛りをみいだす。
〔2〕作図 得られた手掛りを基にして作図する方法を示す。
〔3〕証明 この方法で作図したものが要求にあうものであることを証明する。
〔4〕吟味 要求にあうものがいくつあるかを調べる。
基本作図
(1)線分ABの中点、およびこの点を通ってABに垂直な直線(垂直二等分線)をつくること(円周上の点でこれに接線を引くこと。(10)円外の点からこの円へ接線を引くこと( )。(11)与えられた線分を弦とし、これを与えられた大きさの角に見る円弧をかくこと( )。
)。(2)直線の上の点でこれに垂線を引くこと( )。直線外の点からこの直線へ垂線を引くこと。(3)角の二等分線をつくること( )。(4)与えられた半直線を一つの辺として、与えられた大きさの角をつくること( )。(5)直線外の点を通ってこの直線に平行な直線を引くこと( )。(6)与えられた三つの長さを3辺の長さにもつ三角形をつくること。(7)1直線上にない3点を通る円をかくこと( )。(8)与えられた線分を直径とする円をかくこと。(9)[栗田 稔]
いろいろな作図法
〔1〕軌跡交会法 点Pについて与えられた条件C1、C2に分け、それぞれの条件を満たす点の軌跡の交点として点Pを求める。たとえば、3点A、B、Cから等距離にある点Pは、A、Bから等距離にある点の軌跡(線分ABの垂直二等分線)とB、Cから等距離にある点の軌跡(線分BCの垂直二等分線)の交点として求められる。
〔2〕図形の変換を利用する作図 移動を利用する作図法には、平行移動法、対称移動法、回転移動法がある。たとえば、3直線a、b、cが与えられているとき、cに垂直な直線を引いてa、b、cとの交点A、B、Cについて、Cが線分ABの中点になるようにするには、cについてaと対称な直線とbとの交点をBにとればよい。また、図形の拡大・縮小を利用する作図法は、相似法といわれる。たとえば、鋭角三角形の中へ、1辺を三角形の辺上に置いて内接する正方形をつくる( )。
〔3〕代数解析法 これは次のことを使う作図法である。(1)長さa、bを知って和、差を長さにもつ線分をつくること。(2)長さa、b、cを知って、長さab/cを求めること。(3)長さa、bを知って
を長さとする線分を求めること。(4)長さa、bを知って、二次方程式
x2-ax+b2=0 (a≧2b),
x2-ax-b2=0
を満たす正数xを長さにもつ線分を作図すること( )。たとえば、与えられた円に内接する正五角形、正十七角形などがこの方法で作図できる。一般にpが素数でp=2n+1(nは自然数)のとき、与えられた円に内接する正p角形は、定規とコンパスにより作図できる。
[栗田 稔]
基本作図〔図A〕
基本作図〔図B〕
基本作図〔図C〕
基本作図〔図D〕
基本作図〔図E〕
基本作図〔図F〕
基本作図〔図G〕
基本作図〔図H〕
図形の変換を利用する作図(相似法)〔図…
代数解析法〔図J〕