六訂版 家庭医学大全科 「新生児肝炎」の解説
新生児肝炎
しんせいじかんえん
Neonatal hepatitis
(子どもの病気)
どんな病気か
肝臓の細胞が何らかの理由により傷害を受け、肝臓のはたらき(栄養の代謝、貯蔵、糖新生、
原因は何か
原因は不明です。肝炎ウイルス(A型・B型・C型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルスなど)や、その他の明らかな感染症、
症状の現れ方
新生児に現れる
肝臓で作られ脂肪の吸収などに必要な胆汁酸や、ビリルビンを含んでいる胆汁が、肝障害のため肝臓から十二指腸への排泄が停滞している状態(胆汁うっ滞)が長期にわたると、脂肪吸収障害に伴う
検査と診断
新生児肝炎の診断は、ほかの胆汁うっ滞性疾患を除外することから始まります。とくに、肝外胆汁うっ滞症である胆道閉鎖症および総胆管拡張症との区別を中心に、ウイルス感染症、代謝性疾患、内分泌性疾患などの可能性を否定していきます。
とくに胆道閉鎖症は、生後早期に診断し手術をする必要があるので重要です。両者の区別としては、腹部超音波検査やMRI検査による
さらに、経皮的肝生検を行い、組織学的に
治療の方法
新生児肝炎の95%は1歳までに治ります。しかし、一部の例で急速に肝障害が進行し、死に至る場合があるので注意が必要です。
内科的治療薬として、胆汁うっ滞に対してウルソ酸、肝細胞の
ステロイド薬に関しては、長期投与により感染症に対する免疫力の低下、糖や
病気に気づいたらどうする
黄疸と灰白色便が長引く場合は、すぐに小児科医に相談してください。胆道閉鎖症が否定され、新生児肝炎と診断されれば多くの例で予後は良好ですが、肝障害が長引く場合もあるので、血液検査などによる定期的な評価が必要になります。
大塚 宜一
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報