日本大百科全書(ニッポニカ) 「けいれん」の意味・わかりやすい解説
けいれん
けいれん / 痙攣
自分の意志では弛緩(しかん)させることができない筋肉の急激な収縮をいう。英語では通常のけいれんをスパズムspasmというが、激しいけいれんをコンバルションconvulsionといい、痛みを伴うものや職業性けいれんをクランプcrampと使い分けることが多い。また、持続時間の短い不随意におこる電気ショック様の筋収縮は、ミオクロヌスmyoclonusとよばれる。
けいれんは、全身におこる全身性けいれんと、体の一部の筋肉に限局しておこる局所性けいれんとに大別されるが、症状からみると、異常な筋肉の収縮が長時間続き、筋肉が突っ張ったり、こわばった状態になる強直性けいれんと、四肢や躯幹(くかん)の拮抗(きっこう)筋(伸展させる筋肉と屈曲させる筋肉)が交互に収縮と弛緩を反復し、四肢をばたつかせたりする間代性けいれんがある。
思春期以降の成人にみられるもので多いのは、真性てんかん、脳血管障害、頭部外傷、脳腫瘍(しゅよう)、多発性硬化症、職業性けいれん(書痙(しょけい)など)、熱けいれん(ひどく汗をかき、塩分喪失によっておこる)、顔面けいれん、眼瞼(がんけん)けいれん、こむら返り(腓腹(ひふく)筋けいれん)などによるものである。また、尿毒症、不均衡症候群(人工透析後にみられる)、妊娠中毒症(子癇(しかん))、糖尿病、低血糖症、肝性脳症、テタニー、過換気症候群、膠原(こうげん)病など、全身疾患に伴うけいれんも多い。そのほか、破傷風など細菌の毒素によるもの、ストリキニーネなど薬物の中毒やヒステリーなど、けいれんの原因は多彩である。その原因によって治療法もそれぞれ異なるので、まず神経内科で診察を受け、原因を明らかにすることが必要である。
[海老原進一郎]