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肝硬変 かんこうへん liver cirrhosis

11件 の用語解説(肝硬変の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

肝硬変
かんこうへん
liver cirrhosis

肝臓の組織が硬くなり,本来の働きをしなくなってしまう病気。肝細胞の障害と線維成分の著しい増加によって,肝臓が硬化縮小してしまう状態で,肝臓病の終着駅ともいえる。かつて肝硬変は酒類の飲み過ぎから起きると考えられていたが,原因はアルコールだけでなく,70%はウイルス性の慢性肝炎から進んだものである。

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デジタル大辞泉の解説

かん‐こうへん〔‐カウヘン〕【肝硬変】

肝細胞が破壊され、線維組織が増殖するために、肝臓が縮小して硬くなる病態。ウイルス性肝炎・アルコール性肝臓障害栄養障害などが原因となり、腹水黄疸(おうだん)脾腫(ひしゅ)などの症状が現れ、食道胃静脈瘤(じょうみゃくりゅう)肝臓癌(がん)を併発することもある。肝硬変症

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百科事典マイペディアの解説

肝硬変【かんこうへん】

肝臓組織が結合組織の増殖によってかたくなる病気の総称。種々の分類があるが,発生機転から次の2型に分けられる。ラエネク肝硬変(肝細胞を冒す害毒が血管からくると考えられるもの)と胆路性肝硬変(上記害毒が胆道よりくるもの)。
→関連項目アルコール性肝障害ウィルソン病肝癌肝臓腫脹肝不全γ-GTPC型肝炎静脈瘤前癌状態吐血脾腫ヘパトーマモルガーニ門脈圧亢進症

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とっさの日本語便利帳の解説

肝硬変

慢性的に肝臓の病変が続き、肝臓全体にわたって繊維に囲まれた結節状の病変ができた状態。ウイルス性、アルコール性、自己免疫性、薬物性などがある。

出典|(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」
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栄養・生化学辞典の解説

肝硬変

 慢性の肝疾患の末期の症状で,肝臓に線(繊)維性の組織が形成され実質細胞に障害が起こる症状.アルコール性肝硬変(alcoholic c.),脂肪性肝硬変(fatty c.),栄養性肝硬変(nutritional c.)その他がある.

出典|朝倉書店
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生活習慣病用語辞典の解説

肝硬変

慢性進行性の肝障害で、肝細胞の破壊と再生の繰り返しによりダメージを受け、正常な肝臓の弾力がなくなり、硬くなった状態をいいます。主な原因は、アルコールの多飲、肝炎、毒素・薬物、循環障害です。

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家庭医学館の解説

かんこうへん【肝硬変 Liver Cirrhosis】

◎肝臓が硬くなる
[どんな病気か]
◎無症状期が長く続く
[症状]
◎約75%はC型肝炎が原因
[原因]
[検査と診断]
合併症の治療が主体
[治療]
[日常生活の注意]
[予防]

[どんな病気か]
 なんらかの原因で肝細胞(肝臓の機能を営んでいる細胞)が壊れると、そこに線維(せんい)(抜けた空間を埋める支持組織)が増えて、壊れた肝細胞と入れ替わり、肝臓が文字通り硬くなります。これが肝硬変といわれる状態です。
 このとき、肝細胞の並び方や構成が変化し、再生結節(さいせいけっせつ)と呼ばれるごつごつとした5~20mmのしこりができてきます。
 肝硬変になると、肝細胞が減少し、健全な肝細胞も線維に囲まれるために、血液から十分な酸素と栄養素の供給を受けられなくなり、機能が低下します。
 また、線維が増えて硬くなるために、肝臓全体の血液が流れにくくなり、血液の循環障害をおこします。
◎命にかかわる合併症
 慢性肝炎は生命に危険はありませんが、肝硬変になると、生命にかかわることがあります。
 消化管出血(しょうかかんしゅっけつ)、肝がん、肝不全(かんふぜん)の3つが肝硬変の三大死因です。
■消化管出血
 肝硬変による消化管出血は、食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)(「食道静脈瘤」)、胃潰瘍(いかいよう)(「消化性潰瘍(胃潰瘍/十二指腸潰瘍)」)、出血性胃炎などによりますが、薬物療法や、食道静脈瘤に対する硬化療法かなりよくコントロールされるようになり、死因となる頻度は減少してきています。
■肝がん(「肝細胞がん」)
 肝硬変になると、かなりの頻度で肝がんが発生してきます。
 日本でもっとも多いC型肝炎ウイルスによる肝硬変の場合、1年間に5~7%の人に肝がんが発生しています。
 肝がんが発生しても、治療法などの進歩によって、QOL(生活の質)を維持した延命が可能ですが、最終的には死因となることが多く、相対的に頻度が増えてきています。
■肝不全(コラム「肝不全」)
 著しく肝臓の機能が低下し、黄疸(おうだん)や肝性脳症(かんせいのうしょう)(「肝性脳症(肝性昏睡)」)などの症状が強くなって死に至る状態が肝不全です。
 肝移植(かんいしょく)の普及していない現在の日本の医療事情では、肝不全は肝硬変の1つの終着点といえます。
 今後、肝移植による治療や、肝障害の原因に対する根本的な治療法が開発されたり、治癒(ちゆ)過程を十分にはたらかせることができれば、肝硬変を改善させることも夢ではなくなるでしょう。

[症状]
 肝臓は、予備能力の高い臓器で、肝硬変になって、かなり肝細胞が壊れても、残った肝細胞がカバーし、症状のない時期が長く続きます。この時期を代償期(だいしょうき)といいます。この代償期には、自覚症状がないか、あっても気づいていないことが少なくありません。
 だるさ(全身倦怠感(ぜんしんけんたいかん))や食欲不振などの一見、肝臓病とは関係のない症状で診察を受け、肝硬変が発見されることもあります。
 しかし、肝臓の予備能力にも限度があって、肝硬変がさらに進行すると、肝障害特有の黄疸、腹水(ふくすい)、肝性脳症、出血傾向などの症状が現われてきます。この時期を非代償期(ひだいしょうき)といいます。
 肝硬変の特徴的な症状には、肝細胞の機能低下による症状と、肝臓の血流障害にともなう症状とがあります。
●肝細胞機能低下の症状
 黄疸(おうだん)、肝性脳症(かんせいのうしょう)(うわごと、興奮、錯乱(さくらん)、傾眠(けいみん)、異常行動、羽ばたき振戦(しんせん)など)、出血傾向(皮下出血(ひかしゅっけつ)、鼻出血(びしゅっけつ)、歯肉出血(しにくしゅっけつ)などがおこりやすい)などの肝不全の症状がおこります。
●血流障害の症状
 肝臓への血液の流れが悪くなると、門脈(もんみゃく)(胃腸などの消化管から肝臓に向かう静脈)の血圧が高くなり、それにともなって、おなかに水がたまる(腹水(ふくすい))、むくみ(浮腫(ふしゅ))、脾臓(ひぞう)が腫(は)れる、食道の静脈が太くなって蛇行(だこう)する(食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう))などが出現してきます。
 また、黄疸、クモが手足を広げたような赤い斑(はん)ができる(クモ状血管腫(じょうけっかんしゅ))、手のひら赤くなる手掌紅斑(しゅしょうこうはん))、男性でも乳房が大きくなる(女性化乳房(じょせいかにゅうぼう))、月経異常(げっけいいじょう)などの目で見てわかる症状も現われます。

[原因]
 日本では、ウイルス性肝炎からおこる肝硬変が多くなっています。
 とくにC型肝炎からおこる肝硬変がもっとも多く、肝硬変全体の約75%を占め、B型肝炎からおこるものは約10%です。残りは、アルコール性肝障害からおこるもので、肝硬変全体の約10~15%を占めます。
 そのほか、まれですが、自己免疫(じこめんえき)の異常でおこる原発性胆汁性肝硬変(げんぱつせいたんじゅうせいかんこうへん)・自己免疫性肝炎原発性硬化性胆管炎(げんぱつせいこうかせいたんかんえん)、銅の代謝異常でおこるウィルソン病、鉄の代謝異常でおこるヘモクロマトーシス寄生虫病、薬剤性肝障害、うっ血肝などが原因の肝硬変もあります。

[検査と診断]
 肝硬変の診断は、診察と検査結果の組み合わせで決められます。
●診察
 肝臓の硬さや脾臓の腫れを調べる触診、クモ状血管腫などの皮膚症状の有無を調べる視診のほか、鳥の羽ばたくような手の震え(羽ばたき振戦)や腹水の有無も、診断のうえで重要な情報となります。
●血液検査
 肝機能検査の項目のうち、アルブミンコリンエステラーゼの低下、プロトロンビン時間の延長が、肝硬変の重症度を判断するうえで有用です。
 これらは、いずれも肝臓でつくられるたんぱく質で、異常の度合いが大きいほど、肝細胞の減少や肝機能低下の程度が大きいことを表わします。
 肝機能が低下すると、肝臓でつくられるコレステロールの血液中の値も低下します。
 トランスアミナーゼ(GOT、GPT)は、肝細胞が壊されているときに血液中に放出される酵素(こうそ)たんぱくで、値が高いほど肝細胞破壊の度合いが大きいといえますが、肝硬変では、むしろ低下していることも多く、肝硬変自体の重症度をみる目安にはなりません。しかし、トランスアミナーゼの値が高いのは、それだけ壊されている肝細胞が多いということになります。
 肝性脳症のときには、血液中のアンモニアの増加や分枝鎖(ぶんしさ)アミノ酸/芳香族(ほうこうぞく)アミノ酸比の低下などを参考に治療を行ないます。
 肝がんの早期発見のためには、α‐フェトプロテイン(AFP)やPIVKA‐Ⅱなどの腫瘍(しゅよう)マーカーを定期的にチェックします。もし、値が上昇傾向をみせたり、とくに値が高くなったときは、精密な画像診断を行ないます。
●画像検査
 肝臓の画像検査には、超音波検査、CT、MRIなどが行なわれます。
 これらの検査の画像で、肝臓が結節(けっせつ)(しこり)状になっており、肝臓の辺縁(ふち)が鈍角になっている、脾臓が腫れていることなどが肝硬変診断の参考になります。
 また、肝硬変の診療上、肝がんの早期発見も重要で、3~6か月ごとに肝臓の超音波検査を行ない、腫瘤性(しゅりゅうせい)の変化の有無を調べます。
 腫瘍の超音波検査では、診断能力を必要とする検査で、熟練した人による検査が望まれます。
 CTも6~12か月ごとに行ない、腫瘤性の変化の有無をチェックします。
 CTやMRIでは、造影剤を使用し、血流の変化を調べることで、腫瘤の存在やその性状もわかるので、できるだけ造影剤を使用します。
●腹腔鏡(ふくくうきょう)と肝生検(かんせいけん)
 かつては、腹部に孔(あな)を開け、そこから腹腔鏡を入れて肝臓の表面を観察する腹腔鏡検査と、腹腔鏡検査の際に肝臓の組織を採取してきて、細胞の性質を調べる肝生検が、肝硬変の診断を確定するために不可欠な検査でした。
 CT、MRIなどの画像診断が普及した現在では、免疫異常でおこるものなどの一部の肝硬変を除いて、行なわれることは少なくなっています。
●上部消化管内視鏡検査(じょうぶしょうかかんないしきょうけんさ)
 肝硬変の三大死因の1つの消化管出血を予防するため、上部消化管内視鏡検査を行ない、食道静脈瘤、胃潰瘍、胃炎などの有無を調べます。
 食道静脈瘤があれば、形・色調・部位・レッドカラーサイン(静脈瘤の薄くなっている部位の赤色調の変化)などを観察し、食道静脈瘤の治療をするかどうかを決定します。

[治療]
 従来、肝硬変は不可逆性の変化といわれ、1度、肝硬変がおこれば、元にはもどらないといわれてきました。
 しかし、C型肝炎による肝硬変が、インターフェロン治療などでウイルスが排除されたり、自己免疫性肝炎による肝硬変が、ステロイド(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)などの治療で炎症がコントロールされると、線維化した組織が改善されたりすることがわかってきました。
 したがって、肝硬変といえども、原因が排除されるか、コントロールされれば、肝臓に備わっている治癒力がはたらき始めることが期待され、今後、原因療法の進展が望まれます。
 現時点では、肝硬変の根本的な治療はむずかしく、存在する肝性脳症(「肝性脳症(肝性昏睡)」)、食道静脈瘤(「食道静脈瘤」)、腹水(コラム腹水」)、肝がん(「肝細胞がん」)などの合併症に対する治療が主体になります。

[日常生活の注意]
 食事や飲酒、運動などでは、つぎのような点を注意してください。
●食事
 あまり自覚症状のない代償期では、バランスのとれた食事を心がけます。
 かつては、高たんぱく質・高エネルギー食の必要性が強調されましたが、それは、低栄養により肝臓の機能の低下がより現われているアルコール性肝硬変の人の食事を基本としたためです。
 ウイルス性肝炎による肝硬変の場合は、低栄養のことは少なく、高たんぱく・高エネルギー食にすると、肥満、糖尿病、高脂血症(こうしけっしょう)、高アンモニア血症などを増悪(ぞうあく)させる恐れがあります。
 腹水やむくみがあるときには、塩分を1日に5~6gに制限します。
 肝性脳症がおこっているときには、アンモニアなどの窒素(ちっそ)の過剰が増悪因子となるので、たんぱく質を1日40~50gに制限します。
●飲酒
 禁酒が望ましいのですが、やめられない場合でも、日本酒にして1日1合(ビール大びん1本)程度にとどめてください。
 アルコール性肝障害による肝硬変の場合、命を長らえるには「禁酒」あるのみです。
●運動
 肝臓病には、かつては、安静がたいへん強調されてきました。
 現在では、糖代謝やアミノ酸代謝を円滑に保つためには、運動で筋肉を維持することもたいせつと考えられるようになっています。
 代償期であれば、歩行などのむりのない運動が勧められます。心地よい疲労感が得られる程度の運動を1つの目安としてください。
 黄疸、腹水、肝性脳症などがある時期には無理をせず、ストレッチ体操程度にとどめましょう。

[予防]
 予防法もそれぞれの原因によって、当然、異なります。
 肝硬変は、ウイルス性肝炎から進展することが多いので、ウイルス性肝炎にかからないことが予防の第一歩です。
 肝硬変に進展するのは、B型肝炎とC型肝炎です。両方とも、血液、体液を介して感染するので、このウイルスに感染している人の血液や体液に触れないことが必要です。それ以外の一般的な日常生活の接触で感染することは、まずありません。
 慢性肝炎からの進展を防ぐこともたいせつです。そのためには、なるべく肝細胞が壊されないことが望まれます。また、GOT、GPTなどの肝機能検査の値が低く保たれると、肝硬変への進展も、肝がんの発生も少ないといわれています。
 日本酒にして3合以上を毎日摂取していると、アルコール性肝障害による肝硬変が発症してきます。したがって、飲酒は、日本酒にして1日3合以内にとどめ、しかもアルコールを飲まない「休肝日(きゅうかんび)」を設けることを心がけてください。
 すでにアルコール性肝硬変になっている人は、「節酒」ではなく、「禁酒」が必要です。

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食の医学館の解説

かんこうへん【肝硬変】

《どんな病気か?》
ウイルス肝炎から移行することが多い〉
 慢性の肝臓病(かんぞうびょう)により肝細胞の壊死(えし)が起こると、抜けた空間を埋めるために線維組織がふえて、文字どおり肝臓がかたくなります。これが肝硬変(かんこうへん)の状態です。
 原因のほとんどはウイルス肝炎(「ウイルス肝炎」参照)で、なかでもC型肝炎によるものが6割を占めます。よく、大酒を飲む人は肝硬変になりやすいといわれますが、アルコールによるものは、全体の1割にすぎません。
 初期の段階では、線維化していない正常な肝細胞がカバーするため、ほとんど症状がでません。代償性肝硬変(だいしょうせいかんこうへん)と呼ばれるこの段階をすぎると非代償性肝硬変となり、むくみ、腹水(ふくすい)(腹部に水がたまってふくれること)、黄疸(おうだん)、肝性脳症(かんせいのうしょう)などの症状が現れます。
 肝性脳症とは、肝臓の解毒能力が低下し、血中アンモニア濃度が上昇して脳内に入り、精神や神経に異常をきたすものです。
 肝硬変には特効薬がないので、安静と食事療法で、できるだけ代償期の状態を保つことが治療の基本となります。
《関連する食品》
〈初期はたんぱく質、ビタミンミネラルを十分とる〉
○栄養成分としての働きから
 代償性と非代償性とでは、とるべき食事内容が異なります。代償性肝硬変では、肥満がないかぎり、糖質を中心にした高エネルギー食とし、肝臓の機能を維持するために、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを十分にとります。牛乳や乳製品緑黄色野菜などを積極的に食べましょう。むくみや腹水を予防するため、塩分はひかえます。
 一方、非代償性肝硬変の場合は、肝性脳症を防ぐために、たんぱく質をきびしく制限し、血中アンモニア濃度を下げます。また、脂肪の分解力が落ちるため油も制限し、塩分は1日7g以下とします。
 便秘(べんぴ)も腸内でアンモニアを発生させるもとになるため、気をつける必要があります。
 便秘予防に効果のあるビフィズス菌食物繊維をたっぷりとりましょう。食物繊維は干し柿、インゲンマメ、ダイズゴボウなどに含まれており、ビフィズス菌はヨーグルトや飲料などに添加されたものが市販されています。
 肝炎と同様、肝機能を改善させるタウリングルタチオン解毒作用を促進するクルクミンを含む食品も有効です(「ウイルス肝炎」参照)。
 ただし、タウリンが含まれる魚介類のなかには、高コレステロールのものも多いので、非代償性肝硬変の場合はひかえめにします。もちろん、肝臓に負担をかけるアルコールも禁止です。

出典|小学館
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世界大百科事典 第2版の解説

かんこうへん【肝硬変 cirrhosis】

肝臓が硬くなる病気で,肝硬変の肝臓が黄色を帯びていたことから,ギリシア語kirrhos(帯黄色の)が語源となった。主として肝炎から進展した肝硬変症と,非ウイルス性の自己免疫性の機序によって起こる原発性胆汁性肝硬変がある。
【肝硬変症cirrhosis of the liver
 極度に進んだ肝臓障害(瀰漫(びまん)性肝障害)。日本では,B型肝炎C型肝炎,アルコール性肝障害が原因の各30%ずつを占め,残りの10%は寄生虫やバンチ症候群,ウィルソン病など特殊な原因による。

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大辞林 第三版の解説

かんこうへん【肝硬変】

慢性肝障害が長時間持続して肝細胞が破壊され,かわりに間質の繊維が増殖して肝臓が硬化した状態。悪化すれば,腹水・脾腫ひしゆ・黄疸・昏睡などの症状をきたす。肝硬変症。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

肝硬変
かんこうへん

肝硬変はさまざまな原因によって肝障害が治癒せずに慢性の経過をたどって進行した終末像である。反復する肝細胞壊死(えし)と炎症に引き続き、高度の結合織の増生と再生結節が、肝臓全体にびまん性にみられる。通常は非可逆性であるが、原因が取り除かれると線維症が改善することもある。[恩地森一]

分類

WHO(世界保健機関)は、肝硬変を結節の大きさにより大結節型、混合型と小結節型に分類している。大結節性肝硬変は、広範囲に肝細胞が壊死になった後にみられる大小不同の結節と幅広い間質からなる壊死後性肝硬変と、単ないし複小葉性の結節と幅の狭い間質からなる肝炎後性肝硬変に分けられる。壊死後性肝硬変はまれで、肝硬変の多くは肝炎後性肝硬変である。小結節性肝硬変は結節の大きさが均一でほぼ3ミリメートル以下であり、アルコール性や心臓性の肝硬変でみられる。混合型肝硬変は大結節性と小結節性の混合型で、アルコール性肝硬変でアルコール摂取を中止した場合によくみられる。[恩地森一]

原因

肝硬変の原因は、肝炎ウイルスによる慢性肝炎、アルコール、自己免疫性肝炎、胆汁性肝硬変、ウィルソン病、ヘモクロマトーシス(血色素症)、循環障害、寄生虫疾患などがある。B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスによることがもっとも多い。
 1999年(平成11)から2008年までの日本での肝硬変の成因は、B型肝炎ウイルスは13.1%、C型肝炎ウイルスは60.2%、B+C型肝炎ウイルス1.0%、アルコールは14.8%、原発性胆汁性肝硬変2.3%、自己免疫性肝炎1.9%、非アルコール性脂肪肝炎2.2%などであった。C型肝炎ウイルスの割合が減少傾向にある。B型肝炎後の肝硬変は40歳から60歳代が、一方、C型肝炎後の肝硬変は50歳から70歳代が多く、C型肝炎による場合が10歳高齢である。
 わが国では肝硬変患者は約30~40万人いる。肝硬変全体での男女の比率は、2~3対1で男性が多く、とくにB型肝炎とアルコールでは男性が多い。B型肝炎後肝硬変は西南日本に高頻度であるが、C型肝炎後肝硬変は日本全体で多い。自己免疫性肝炎後の肝硬変と原発性胆汁性肝硬変は90%以上が女性である。原発性硬化性胆管炎後の肝硬変は男女差がない。原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎と先天性胆道閉鎖症では胆汁うっ滞により肝硬変となる。
 世界的にはアルコールが肝硬変の原因として重要で、アルコールの消費量と肝硬変による死亡率とはよく相関している。女性では男性の約3分の2の飲酒量で肝硬変になる。心臓性肝硬変は右心不全や肝静脈閉鎖症によるうっ血により中心静脈付近から肝細胞壊死と線維化が進行した肝硬変である。肝硬変の原因の一つに寄生虫感染があり、日本住血吸虫症が有名である。高度の肥満や性ホルモン薬の服用などをしている人が、飲酒しないにもかかわらずアルコール性肝炎と類似した高度の脂肪肝とともに炎症がみられる非アルコール性脂肪肝炎は慢性に経過し肝硬変に進行する。肝硬変による死亡総数は、日本では年間1万人前後と推測されているが、肝硬変を発生母地にしている肝細胞癌(肝癌)はおよそ3万人である。[恩地森一]

小児の肝硬変

小児にみられる肝硬変の原因疾患はきわめて多い。乳幼児では先天性胆道閉鎖症、先天性胆道拡張症などによる閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん)が原因となっている。年長者では代謝性疾患、とくにウィルソン病が多い。ウイルス肝炎は小児でも多いが小児期に肝硬変まで進行することは少ない。[恩地森一]

症状と診断

進行していない時期には無症状のことが多い。進行した肝硬変の症状は多彩である。肝細胞障害による肝機能低下、門脈圧亢進(こうしん)症と、門脈―体循環短絡形成の三大要因で臨床症状が出現する。自覚症状としては、全身倦怠(けんたい)感、易疲労感、性欲減退、食欲不振、微熱、腹部膨満、こむら返りなどがある。また、他覚症状としては、黄疸、腹水、浮腫(ふしゅ)、意識障害(肝性昏睡)、出血傾向、消化管出血、女性型乳房、腹壁静脈怒張などがある。アルコール性肝硬変では、他の原因による肝硬変より、全身倦怠感、食欲不振、下痢、くも状血管拡張、肝腫大が多い。アルコール性肝硬変の肝機能検査では、他の原因の肝硬変よりトランスアミナーゼ(GOT、GPT)比、中性脂肪値が高く、肝細胞の機能は比較的よく保たれている。肝硬変が進行すると、血小板数の減少、タンパク質であるアルブミン値の低下、γ(ガンマ)‐グロブリン(免疫グロブリン)の増加、血液凝固検査におけるプロトロンビン時間(血液凝固因子を加えたときの血漿(けっしょう)が固まる時間)の延長、コリンエステラーゼ(酵素)の低下などの検査異常が出てくる。脾腫(ひしゅ)が高度となると脾機能亢進症となり、血小板数、ついで白血球数、さらに肝硬変が進行すると赤血球数が低下してくる。内視鏡検査で食道・胃静脈瘤(りゅう)が、超音波検査やCT(コンピュータ断層撮影)で肝の形状異常、肝細胞癌の合併や脾腫が観察される。
 診断は、進行した肝硬変では一般肝機能検査や腹部超音波検査やCTで容易にできる。しかし、進展していない場合には一般肝機能検査や超音波検査では困難で、腹腔(ふくくう)鏡や肝生検で確実となる。肝硬変の原因を調べるには、アルコール飲用歴や心疾患の聴取と、肝炎ウイルスマーカー、抗核抗体、抗平滑筋抗体、抗ミトコンドリア抗体などの測定を行う。肝硬変の重症度は、アルブミン値、プロトロンビン時間、ビリルビン値などで判断する。[恩地森一]

合併症

合併症としては、食道・胃静脈瘤、消化管出血、肝性昏睡、特発性細菌性腹膜炎、出血傾向、腎障害、胆石症、肝細胞癌がある。食道・胃静脈瘤の発見は造影剤によるX線撮影では不正確であり、内視鏡検査を行う必要がある。直腸に静脈瘤ができると痔核(じかく)となる。腹壁には側副血行路ができる。消化管出血は、静脈瘤の破裂、胃・十二指腸潰瘍(かいよう)、びらんなどからの出血による。肝性昏睡には劇症肝炎の際に発症する急性のものと、進行した肝硬変や門脈と体循環のシャント(副血行路)による慢性のものがある。肝硬変では、消化管出血、便秘、感染、脱水、電解質異常や向精神薬服用をきっかけに意識障害が出現することが多い。意識、性格の変化、判断力の低下、異常行動、羽ばたき振戦(手の震え)がみられる。通常の診察では明確でないが、詳しい検査をすると軽い脳症のみられる潜在性肝性脳症がある。このような場合は車の運転や危険な場所に行くことは慎んだほうがよい。腹水、浮腫には利尿剤やアルブミンの補給を行う。肝硬変が進行すると腎臓への血液の流れが悪くなり腎機能が低下する(肝腎症候群)。腹水を合併した肝硬変では大腸や小腸由来の細菌が門脈経由で感染を生じ腹膜炎(特発性細菌性腹膜炎)を発症すると予後不良となる。[恩地森一]

治療と予後

治療は、安静と食事療法が大切である。黄疸や腹水などがある非代償期(肝の動きが悪くなり、症状が出てくる時期)の肝硬変では安静が重要である。黄疸、腹水や肝性昏睡の症状のない代償期の肝硬変では、適度の運動を行い筋肉量を維持しておくことも大切である。肝性昏睡のないときには高タンパクの食事をとる。しかし、肝硬変には糖尿病を合併することが多いので、肥満にならないように注意する。肝硬変が進行すれば、分岐鎖アミノ酸の補給も必要となる。また、分割食として就寝時に少量の食事をとることも勧められている。肝性昏睡にはアンモニアの発生を防ぐためにラクツロース(緩下剤の一種)の服用、便通を整えること、抗生物質を経口的に服用することなどを行う。
 予後は進行していないときには肝細胞癌を合併しないかぎりよい。死因は肝細胞癌、消化管出血と肝不全であるが、消化管出血と肝不全は減少し、肝細胞癌が増加して80%以上を占める。消化管出血の原因となる食道・胃静脈瘤には出血に対する治療として、また予防的に内視鏡下での静脈瘤結紮(けっさつ)術や硬化術を行う。肝硬変による門脈圧亢進症で、消化管とくに胃・十二指腸にはびらんや潰瘍性病変が出現し、消化管出血の原因となる。胃、食道のびらんや潰瘍からの出血を予防する目的でH2ブロッカー(胃液の分泌を抑える薬)を服用するとよい。肝不全は進展しないように、禁酒をしたり、GPTを下げる治療により肝炎の活動性を鎮静することが大切である。肝不全が高度となると肝移植(肝臓移植)の適応となってくる。原発性胆汁性肝硬変での成績がよい。B型ウイルス肝炎後の肝硬変では、施行後に抗ウイルス剤や高力価ガンマグロブリンを使用する。肝硬変患者、とくにB、C型肝炎後の肝硬変患者では肝細胞癌の合併を予測して3か月ごとの定期的な超音波検査とCT、アルファフェトプロテインα-fetoprotein(AFP、胎児性タンパクで、健康な成人の血液にはほとんど存在しない)、PIVKA(ピブカツー)(ビタミンKが欠乏しているときにできる異常タンパク)の検査が必要である。C型肝炎ウイルスによる肝硬変では、インターフェロン(ウイルスの増殖を抑制)治療によるC型肝炎ウイルスの駆除により、またグリチルリチン製剤やウルソデオキシコール酸などでGPTを下げておくことにより、肝細胞癌の発生を抑制できる。[恩地森一]

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世界大百科事典内の肝硬変の言及

【肝萎縮症】より

…肝臓は成人では1300~1500gあり,体内では最大の臓器である。急性肝炎に引き続き劇症肝炎fulminant hepatitisが発症したとき,および高度に進行した肝硬変では,肝臓は著しく小さくなる(萎縮する)。これを肝萎縮症という。…

【肝腫大】より

…慢性肝炎では,肝臓は通常1~2横指,腫大して硬くなる。アルコール性脂肪肝とアルコール性肝硬変では,ほとんど肝腫大を伴うが,禁酒によって急速に正常の大きさに戻る。黄疸腹水を伴う重症な非代償性肝硬変では,肝臓が触れられなくなり,肝臓の萎縮の程度は肝臓疾患の重症度にほぼ並行する。…

【肝臓】より

…【和気 健二郎】
[肝臓の病気]
 肝臓の構造と機能に関連して,多くの病態が発生する。大別すると,急性炎症(急性肝炎),慢性炎症(慢性肝炎),高度の繊維増加を伴う構造の変化(肝硬変),胆汁流出障害,循環障害,代謝障害,寄生虫感染などがある。これらの原因として,ウイルス感染,アルコール毒性,薬剤アレルギー,栄養障害,自己免疫異常,胆道疾患,心臓病などがある。…

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