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肝不全 かんふぜんliver failure

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

肝不全
かんふぜん
liver failure

進行した肝臓癌にみられる肝細胞機能の不全状態をいう。ウイルス性肝炎のほか細菌感染,中毒,循環障害などによって肝臓の機能が低下した場合にも起きる。肝臓の代謝機能が落ちるために老廃物がふえ,種々の障害が起る。特に血中アンモニア量の上昇は,脳の症状と関係が深く,肝性昏睡を起すことがある。また,腎不全を合併することもある。

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百科事典マイペディアの解説

肝不全【かんふぜん】

肝機能不全とも。肝臓の機能障害が進行して,肝臓がその機能を果たせなくなった状態で,肝炎肝硬変,肝腫瘍,胆道疾患など,さまざまな肝臓疾患による肝障害によって起こる。
→関連項目劇症肝炎生体肝移植マイクロ波凝固治療

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家庭医学館の解説

かんふぜん【肝不全】

 肝臓(かんぞう)は、消化管から吸収された栄養物の代謝(たいしゃ)、血液中のアルブミンや凝固因子(ぎょうこいんし)などのたんぱく質の合成、アンモニア代謝、薬物・異物の代謝・解毒(げどく)・排泄(はいせつ)などさまざまな代謝機能をつかさどる臓器です。
 肝不全とは、なんらかの原因で肝細胞の機能が低下し、肝臓の機能が維持できなくなったために、意識障害(肝性脳症(かんせいのうしょう)(「肝性脳症(肝性昏睡)」))、黄疸(おうだん)、腹水(ふくすい)、消化管出血、出血傾向、腎不全(じんふぜん)など、さまざまな症状をきたした状態をいいます。
 肝不全は、劇症肝炎(げきしょうかんえん)、薬剤性肝炎など、肝疾患の既往がなくて急激な肝細胞の壊死(えし)がおこり、発症後8週以内に脳症や黄疸、腹水、出血傾向、腎不全などを呈する急性肝不全と、肝硬変(かんこうへん)および肝がんの末期症状として除々に進行してくる慢性肝不全とに分けて考えます。
 欧米では、急性肝不全に対する一般的な治療法として、肝移植(「肝移植」)が定着してきています。
 肝移植の体制が整っていない日本では、急性肝不全のときに、その原因がおさまるまでの急場をしのぐため人工肝補助療法(「人工肝補助療法」)などが使用されてきました。さらに抗ウイルス薬の使用などにより、以前は2~3割であった生存率が6割を超す成績をあげるようになっています。
 肝硬変からの肝不全では、有効な治療はむずかしく、ウイルス性やアルコール性でなければ、欧米では肝移植が行なわれています。

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世界大百科事典 第2版の解説

かんふぜん【肝不全 hepatic failure】

肝臓のビリルビン処理,タンパク質合成,解毒などの代謝機能が,高度に障害された状態。大別して,急性肝不全と慢性肝不全に分けられる。前者は,種々の急性肝炎の重症化により生じる劇症肝炎,亜急性肝炎,妊娠性急性脂肪肝,急性化膿性胆管炎,重症のアルコール性肝炎などでの激しい炎症による肝細胞機能の停止と,広範な壊死が原因である。後者は,進行した肝硬変肝臓癌,肝臓内に長期間持続して胆汁が鬱滞(うつたい)することなどによって生じ,高度の肝臓萎縮と繊維化,およびその結果生じる肝血流障害,腫瘍性変化などが直接の原因となる。

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大辞林 第三版の解説

かんふぜん【肝不全】

肝臓の機能が著しく低下した状態。劇症肝炎による急性のものと、肝硬変・肝臓癌などによる慢性のものがある。意識障害を伴う場合は肝性脳症、昏睡こんすいにおちいった場合は肝性昏睡という。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

肝不全
かんふぜん

重篤な肝障害によって極度に肝機能が低下した状態をいう。黄疸(おうだん)、腹水、出血性傾向などのほか、腎(じん)不全を伴うこともある。昏睡(こんすい)に陥った場合は肝性昏睡とよばれ、意識障害など精神神経症状が現れた場合は肝性脳症とよぶ。反応の遅延、錯乱、上肢に羽ばたき振戦(震え)が出現する。また、肝性口臭もみられる。急性肝不全はおもに劇症肝炎によっておこり、慢性肝不全は進行した肝硬変にみられるものが代表的である。[太田康幸・恩地森一]

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