新興科学の旗の下に(読み)しんこうかがくのはたのもとに

世界大百科事典 第2版 「新興科学の旗の下に」の意味・わかりやすい解説

しんこうかがくのはたのもとに【新興科学の旗の下に】

三木清羽仁五郎らによって,1928年10月創刊された月刊理論雑誌。マルクス主義理論の研究を中心とし,執筆者には三木,羽仁のほか,本多謙三,高島善哉,奈良正路らがいる。発行者は鉄塔書院の小林勇。29年10月プロレタリア科学研究所が設立され,三木らが同研究所に参加するとともに12月終刊。アカデミシャンのなかからもマルクス主義に接近する者があらわれたことを示す文献である。【梅田 俊英

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世界大百科事典内の新興科学の旗の下にの言及

【三木清】より

…そこで開眼した20世紀哲学の課題への挑戦は,まず《パスカルに於ける人間の研究》(1926)となって現れ,日本の哲学を革新するものという評を得た。また,マルクスの思想が一定の人間学をもつことを構造論的に明らかにした論文《人間学のマルクス的形態》(1927)をはじめ,やつぎばやにマルクス主義研究の論文を発表し,また羽仁五郎とともに雑誌《新興科学の旗の下(もと)に》を創刊(1928)して,折から昂揚したマルクス主義革命運動に大きな影響を与えた。それは,政治的革命運動を超えて世界観(哲学)としてのマルクス主義の探求を促すものであった。…

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