方相氏(読み)ホウソウシ

デジタル大辞泉 「方相氏」の意味・読み・例文・類語

ほうそう‐し〔ハウサウ‐〕【方相氏】

《もと中国周代の官名宮中で、追儺ついなのとき悪鬼を追い払う役。黄金四つ目の仮面をかぶり、黒い衣に朱のを着、矛と盾を持ち、内裏の4門を回って鬼を追い出した。

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精選版 日本国語大辞典 「方相氏」の意味・読み・例文・類語

ほうそう‐しハウサウ‥【方相氏】

  1. 〘 名詞 〙周礼夏官」に見える周代の官名。黄金四目の仮面をかぶり、玄衣朱裳を着用し、手に戈と楯を持って悪疫を追い払うことをつかさどったとされる。日本では、追儺(ついな)の時に宮中の悪鬼を追い、また、葬送の時に、棺を載せた車を先導する役をした。方相。〔江家次第(1111頃)〕
    1. 方相氏〈公事十二ヶ月絵巻〉
      方相氏〈公事十二ヶ月絵巻〉

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世界大百科事典(旧版)内の方相氏の言及

【追儺】より

…大儺(たいな),鬼やらいともいう。古く中国に始まり,《周礼(しゆらい)》によれば方相氏(ほうそうし∥ほうしようし)と称する呪師が熊の皮をかぶり,四つの黄金の目玉のある面をつけ,黒衣に朱の裳(も)をつけ,手に戈(ほこ)と盾(たて)とをもって疫鬼を追い出した。日本へは文武天皇のころに伝わったという。…

【鍾馗】より

…起源については,明の楊慎,清の顧炎武,趙翼らが考証し,鬼を撃ち追う椎(つち)〈終葵〉〈鍾葵〉がのちに同音の鍾馗という神名に変化したという。また鍾馗信仰は古代の大儺(たいだ)(鬼やらい,追儺(ついな))に発し,鍾馗の形象は仮面をつけ熊皮をかぶって大儺をつかさどる巫師〈方相氏〉から転化したという説もある。鍾馗神話はしだいに敷衍されて,明・清代には《鍾馗全伝》《斬鬼伝》《鍾馗嫁妹》など通俗小説や戯曲が現れ,庶民により親しい神となった。…

※「方相氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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