周礼(読み)シュライ(その他表記)Zhōu lǐ

デジタル大辞泉 「周礼」の意味・読み・例文・類語

しゅらい【周礼】

中国儒教教典の一。三礼さんらいの一。周公の作と伝えられるが、成立戦国時代以降。王朝の官制を天地春夏秋冬の六官分け記述したもの。そのうち冬官は失われたため「考工記」で補われている。周官。

しゅうれい〔シウレイ〕【周礼】

しゅらい(周礼)

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精選版 日本国語大辞典 「周礼」の意味・読み・例文・類語

しゅらい【周礼】

  1. ( 「しゅ」「らい」はそれぞれ「周」「礼」の呉音 ) 中国の経書。十三経の一つ。六編、三六〇官。周公旦の撰と伝え、劉歆偽作説もある。もと「周官」といったが、唐の賈公彦の疏ではじめて「周礼」と称するようになった。天地春夏秋冬にかたどって官制を立て天命の具現者である王の国家統一による理想国家の行政組織の細目規定を詳説。「儀礼(ぎらい)」「礼記(らいき)」と共に三礼(さんらい)の一つ。注釈書として漢鄭元注、唐賈公彦疏の「周礼注疏」が知られている。

しゅうれいシウレイ【周礼】

  1. しゅらい(周礼)

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改訂新版 世界大百科事典 「周礼」の意味・わかりやすい解説

周礼 (しゅらい)
Zhōu lǐ

古くは《周官》ともいった。中国古代の礼書,三礼の一つ。西周王朝の行政組織を記述したものとされ,天官大宰,地官大司徒,春官大宗伯,夏官大司馬,秋官大司寇(だいしこう),冬官大司空の6人の長官に統帥される役人たちの職務が規定されている。これら六つの官は,理念的にはそれぞれ60の官職から成り,合計360という職務は1年の日数に対応するのだとされる。ただ冬官大司空の篇は古く失われ,漢代に替りに〈考工記〉が補われた。伝説的には,周公旦が周代初年に礼を制した際,この書物も編まれたとされるが,内容がそれにそぐわないことは,近人の銭穆〈周官著作年代故〉が詳論するところである。また前漢末の劉歆(りゆうきん)の偽作だとする主張もあるが,おそらくこの書物の主体になる部分は,戦国末期,天下が統一に向かう趨勢の中で,一つの統一国家像を描き出すため,以前からの種々の伝承をまとめて編纂されたものであろう。編纂の中心となったのは斉国の学者たちであったと推定されている。この書物は漢代にすでに〈六国陰謀の書〉と呼ばれ,王莽おうもう)の新政権や王安石新法実施などに際し政治的に利用されたほか,六官からなる政治体制は中国の官僚組織の根幹として後世にまで大きな影響を与えた。
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百科事典マイペディア 「周礼」の意味・わかりやすい解説

周礼【しゅらい】

中国,最古の礼書の一つ。《周官》とも。《礼記》《儀礼》とあわせ〈三礼〉ともいう。周公(公旦)の撰と伝え,周代の行政制度を記述。秦の焚書(ふんしょ)にあったが,漢代に5編が発見され,《考工記》を補って6編とした。王莽(おうもう)は同書によって新の制を粉飾しようとし,王安石は同書をもって自己の新法を正当化しようとした。
→関連項目宗教法青銅器六経

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「周礼」の意味・わかりやすい解説

周礼
しゅらい

儒教経典。『儀礼(ぎらい)』『礼記(らいき)』とあわせて三礼(さんらい)とよぶ。原名は『周官(しゅうかん)』。前漢の武帝(ぶてい)期(前2世紀)に発見されたという。周公が周王国の官制を記した書として、劉歆(りゅうきん)はじめ古文学派に尊奉され、今文(きんぶん)学派の排斥にもかかわらず、後漢(ごかん)の鄭玄(じょうげん)の『周礼注』の盛行により、礼学上の権威を獲得した。ときに、現実の政治制度に一定の影響を与えた(新(しん)や北周など)。内容は、天地春夏秋冬の6部に分かれ、宮廷や財産関係の天官62種、地方行政や物産関係の地官76種、礼楽卜祝(ぼくしゅく)関係の春官69種、軍事や封建関係の夏官66種、司法や外交関係の秋官66種について、その員数と職務を詳述する。冬官は当初より欠け、工人の職務30種を記す『考工記』をもって補われている。『周礼』は、戦国以降に著述された理想上の職官書であるが、春秋戦国期の現実内容を反映する部分も多い。鄭玄の『周礼注』に基づき、唐の賈公彦(かこうげん)が『周礼注疏(ちゅうそ)』(『十三経(じゅうさんぎょう)注疏』の一つ)を著し、清(しん)末の孫詒譲(そんいじょう)は清朝考証学の成果を大成して『周礼正義』を著した。

[高橋忠彦]

『原田種成校閲、本田二郎著『周礼通釈』上下(1977、79・秀英出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「周礼」の意味・わかりやすい解説

周礼
しゅらい
Zhou-li

中国の十三経の一つ。『周官』ともいう。6編。成立年未詳。古くは,周公旦 (前 12世紀) が周王国の太平を築いた制度を記録したものと信じられていたが,実際は,前漢末期に古伝承を集めて編纂されたらしい。戦国時代末期にその主要部分ができていたという説もある。王のもとに天官冢宰 (宮廷) ,地官司徒 (教育) ,春官宗伯 (祭祀) ,夏官司馬 (軍事) ,秋官司寇 (裁判) ,冬官司空 (工事) の6官庁に分け,それぞれの官吏の数,分職の内容を記している。ただし冬官は亡失したとして『考工記』で補っている。儒教の政治理念を制度化したもので,王国の制度制定の参考とされた。前漢末の王莽 (おうもう) が重視したことでも有名である。

周礼
しゅうらい

周礼」のページをご覧ください。


周礼
しゅうれい

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「周礼」の解説

『周礼』(しゅらい)

経書(けいしょ)の一つ。周公旦(しゅうこうたん)の作で,周代の官制を述べた書と古来信じられた。『儀礼』(ぎらい)『礼記』(らいき)と合わせて三礼と称する。実際は秦漢時代の作で,周代の官制の事実を伝えているかどうかも疑わしい。

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旺文社世界史事典 三訂版 「周礼」の解説

周礼
しゅらい

中国の経書で,十三経の1つ。周官ともいう
周公旦 (たん) が周代の官制を記したものといわれ,天官(総理)・地官(教育)・春官(祭礼)・夏官(軍事)・秋官(司法)・冬官(土木)の6官に分けて記述。戦国時代の作とする説が有力。『儀礼 (ぎらい) 』『礼記 (らいき) 』とともに三礼という。

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世界大百科事典(旧版)内の周礼の言及

【三礼】より

…中国の礼に関する3種の古典,《周礼(しゆらい)》《儀礼(ぎらい)》《礼記(らいき)》の総称。《周礼》は《周官》ともいい,理想の官制をしるした行政法典。…

【葬制】より

他界【内堀 基光】
【中国】

[葬礼]
 中国は,礼の国と言われるほどに各種の儀礼が発達しているが,その中でも死者に対する葬礼は細微な点に及んで複雑である。それは,危篤が確認されたときから始まり,儒家の経典である《儀礼(ぎらい)》《礼記(らいき)》《周礼(しゆらい)》の三礼(さんらい)に基づいて進められる。賓客の来訪に備えて家を清掃し,病人を北牖(まど)の下に頭を東にして寝かせる。…

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