日本大百科全書(ニッポニカ) 「施肥機」の意味・わかりやすい解説
施肥機
せひき
適量の肥料を作物の生育に適した位置にすじ状または広幅に散布する機械。肥料には、粉末、粒状のほかに堆肥(たいひ)(積み肥)や液状のものがあり、作物の種類や栽培様式および生育段階に応じて施肥法が異なるため、大別すると、粉・粒状施用機、堆肥散布機、液肥施用機の三形式がある。粉・粒状施用機は、石灰または化学肥料を散布するもので、肥料ホッパーに入れた肥料を精度よく一定量ずつ排出して、圃場(ほじょう)に散布するものと、条(すじ)の状態に施用するものがある。さらに播種(はしゅ)作業と同時に化学肥料を施肥するように一体化した施肥播種機が、1980年ごろから普及し始めた。堆肥散布機は、積み肥箱に入れた堆肥を搬送チェーンで送り出し、機体の後端にある回転体で堆肥をほぐしながら均等に散布するトラクター牽引(けんいん)作業機である。また、液肥施用機は、おもに家畜排出物の尿を畜舎尿溜(だ)めよりポンプでくみ上げ、牧草地に運んで加圧ポンプで散布するか、土の中に施肥する作業機で、これは欧米で比較的古くから用いられてきたが、日本ではその利用は少ない。
[宮澤福治]