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肥料 ひりょう fertilizer and manure

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

肥料
ひりょう
fertilizer and manure

耕土に施す栄養物質。これによって土地の生産力を維持,増進し,植物の生長を促進する。植物の生育には,酸素,水素,炭素,窒素,カリウム,リン,カルシウムマグネシウム,硫黄の9元素のほか,マンガン,亜鉛,鉄などの微量元素が必要とされるが,土壌中に特に欠乏しやすい窒素,リン,カリウムを補給するのが役割である。

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デジタル大辞泉の解説

ひ‐りょう〔‐レウ〕【肥料】

作物の生育をよくするため、土壌などに施す物質。欠乏しやすく、施したときの効果の大きい窒素(ちっそ)・燐(りん)・カリウムを肥料の3要素という。有機肥料無機肥料とに大別される。

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百科事典マイペディアの解説

肥料【ひりょう】

植物に栄養を与え,より多くの収量をあげるため,土壌に施されたり葉面散布されるもの。植物の生育には15元素(O,H,C,N,S,P,K,Ca,Mg,Fe,B,Mn,Cu,Zn,Mo)が必要で,その大部分は土壌中より吸収される。
→関連項目寒肥魚肥配合肥料

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栄養・生化学辞典の解説

肥料

 植物に栄養素を供給する物質.

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世界大百科事典 第2版の解説

ひりょう【肥料 fertilizer】

植物の必要とする養分を供給したり,土壌の条件を改良して,植物の生育を増進し,生産性を高めるために土壌に施用したり,植物に直接散布する物質をいう。日本では,不正粗悪なものが肥料として製造,販売されるのを防ぐ目的で肥料取締法が制定されているが,これによると〈肥料とは植物の栄養に供することまたは植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地にほどこされる物,および植物の栄養に供することを目的として植物にほどこされる物をいう〉と定義されている。

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大辞林 第三版の解説

ひりょう【肥料】

土壌をこやし、植物の生育に役立って増収をもたらす効果をもつ土壌・植物に施す物質。窒素・リン・カリウムは肥料の三要素と呼ばれ重要である。こやし。こえ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

肥料
ひりょう

今日では実に多種多様のものが肥料として農家で使用されているので、肥料を簡単に定義づけることは困難となっている。日本の肥料取締法(昭和25年法律第127号)でいう肥料とは「植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土じように化学的変化をもたらすことを目的として土地にほどこされる物及び植物の栄養に供することを目的として植物にほどこされる物」と定義づけされている。したがって、土壌に施用する養分元素ばかりではなく、直接植物に施す葉面散布剤や水耕・礫耕(れきこう)に使う培養液も肥料であり、また窒素、リンなどの一般的な肥料成分はまったく含まれていないが、土壌の化学的性質を改善して植物の生育を良好にする物質、すなわち石灰資材なども肥料として取り扱われる。ただし、肥料以外で土壌に施用して効果(土壌の物理性、生物性の改善)があるものは土壌改良資材という。指定を受けている土壌改良資材は1997年(平成9)3月から追加指定されたVA菌根菌資材を含め、2012年(平成24)時点で12種類ある。なお、2011年3月の東日本大震災に伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所事故以降は肥料・土壌改良資材の放射性セシウムの暫定許容値として1キログラム当り400ベクレルが設けられている。[小山雄生]

歴史

肥料は世界のどこの国においても、農業が土地に定着してしだいに発展し、農家一戸当りが所有する土地面積が狭くなり、連作や多毛作が行われるようになってから、地力の回復ならびに土地から奪い去ったものを元に戻すという考え方から経験的に開発されてきたものである。
 日本でいつごろの時代から肥料が実際に使われ始めたかはさだかではないが、ただ平安時代にはすでに使用された記録が残されている。この時代、肥料として用いられたことが史料上で明らかなのは厩肥(きゅうひ)、山野の草、草木灰で、『延喜(えんぎ)式』内膳司(ないぜんし)の園の耕作に厩肥施用の記載がある。本格的に肥料の利用が始められたのは、鎌倉、室町時代になってからとみられる。この当時に使用された肥料は山野草(草肥(くさごえ))、厩肥、草木灰などのいわゆる自給肥料であった。ただし、人糞尿(じんぷんにょう)については明確な記録がなく、いつごろから使用され始めたかはさだかではないが、肥桶(こえおけ)の使用から判断して鎌倉時代にはすでに肥料として使われていたことは確かである。なお、「肥料」は明治維新後に生まれたことばであり、それ以前には地味(ちみ)を「肥(こ)やす」を名詞化した「肥やし」が使われていた。
 一方、西欧では家畜の飼養を伴う農業が発達し、古くから動物の排泄(はいせつ)物が肥料としてよく利用された。肥料のことをさす英語のmanure, dungはいずれも家畜の排泄物を意味している。このような有機質の肥料とは別に16世紀になると無機質の硝石が肥料として有用なことがわかり、18世紀なかばころにはすでにチリ硝石が肥料として広く使用されるようになった。ドイツのリービヒの有名な「無機養分説」の発表は1840年のことであるが、このころには水に不溶性のリン鉱石を硫酸で化学処理し、植物に吸収されやすい水溶性リンに転換した代表的な化学肥料である過リン酸石灰が開発され、使用されるようにもなった。
 また当時すでに、カリ(カリウム)鉱床からのカリ、石灰岩からの石灰、骨粉からのリンなどが肥料として利用されていた。ただし、窒素肥料としてはなお家畜の排泄物が主体であった。ところが19世紀に入ると、ドイツで合成硫安の製造に成功し、大規模な空中窒素固定による合成アンモニア工場が建設され、大量の硫安が製造、輸出されるようになった。これを契機として今日のような化学肥料全盛の時代を迎えるのである。[小山雄生]

肥料の消費

日本の単位面積当りの肥料の投下量は、すでに世界的にみてもかなり高い水準にあり、またその大部分が化学肥料で占められている。今後の日本の肥料消費量の増加はあまり期待できそうにない。むしろ1980年代以降は、化学肥料の連用による地力の低下や、硝酸態窒素による地下水汚染、肥料から流出する窒素やリンによる河川・湖沼などの富栄養化による環境悪化が問題となっており、また、資源の面でも長期的にみてリンの枯渇が心配されていることなどから、これまでの多肥多収の傾向が今後は逆に是正される趨勢(すうせい)にある。[小山雄生]

肥料の三要素

植物の生育に必要不可欠な養分元素は16種類であるが、肥料として実際に農地に施用される養分は窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、ホウ素などの元素に限られている。このうちで窒素、リン、カリウムは土壌中に不足しやすく、また施用効果も著しく大きなことから肥料の三要素と特別によばれている。これにカルシウムを加えて四要素とよぶ場合もある。このほかの元素ではマグネシウム、マンガン、ホウ素、ケイ素が肥料取締法では主成分として取り扱われる。ただし、銅、鉄、亜鉛、モリブデンなどの微量元素は肥料への混入は認められてはいるものの主成分としては取り扱われていない。また、ケイ素はなくても植物は生育できるが、イネなどの好ケイ酸植物では多量のケイ素を含み、施用すると生育がより健全となり、増収することから有用元素とよばれ肥料の主成分として認められている。[小山雄生]

肥料の種類とそのおもな性質


窒素質肥料
窒素を主成分とする肥料のことで、窒素の化合形態によってアンモニア態、硝酸態、尿素態、シアナミド態、ウレイド、ウレイン態、グアニジン態などに分類される。
(1)アンモニア態窒素肥料 硫安(NH4)2SO4、塩安NH4Cl、リン安(リン酸アンモニウム)(NH4)2HPO4などがある。この形態の窒素は水によく溶け、作物に直接吸収されるので速効性である。また土壌にもよく吸着され、雨水にも流されにくい。元肥として施すにも追肥として施すにも適している。しかし生理的酸性肥料であり土壌を酸性にするのが欠点である。また石灰、草木灰などのアルカリ性肥料と混ぜると主成分のアンモニアが損失するので配合してはならない。なおアメリカではアンモニアを直接肥料とすることが実用化されている。使用の形態は、高圧で液化した液化アンモニア(N分82%)と、15~28%の安水(アンモニア水)との二通りがある。副成分を含まず土壌を悪化させることがないので、将来性のある窒素肥料とみられている。
(2)硝酸態窒素肥料 硝安NH4NO3、チリ硝石(硝酸ソーダ)NaNO3、硝酸石灰(硝酸カルシウム)Ca(NO3)2などがある。この形態の窒素は、水によく溶けて作物にもよく吸収利用されるので速効性である。しかし土壌にはほとんど吸着されないので雨水で流されやすく、また多く施すと濃度障害をおこしやすい。畑作物の追肥として施すには最適の窒素肥料であるが、水田では単に流亡するのみでなく、還元されて脱窒を受け、窒素ガスとなって大気中に損失するので、用いないほうがよい。
(3)尿素態窒素肥料 尿素(NH2)2COがある。水によく溶ける分子状で、作物にも直接根から吸収利用されるが、大部分は土壌中でアンモニア態、硝酸態に変化したあとで作物に吸収利用される。土壌中でアンモニアに変わるのに必要な日数は、夏季で4~5日、冬季でも1~2週間くらいである。尿素の特徴は、化学的にも生理的にも中性の肥料であり土壌を悪化させることがない。また葉面に散布することにより直接作物によく吸収利用されるので、野菜や果樹では葉面散布されている。しかし窒素の濃度が高く濃度障害をおこしやすいので、やりすぎには注意が必要である。
(4)シアナミド態肥料 石灰窒素CaCN2がある。この窒素は水に溶けるが作物には有毒である。この毒性を逆に利用して、土壌中のユリミミズなどの駆除や土壌線虫の防除に利用されている。アルカリ性の肥料であり、土壌に施すとまず土壌中の土壌コロイドの作用で尿素に変わり、ついで土壌微生物の酵素の働きで炭酸アンモニアに変化する。このアンモニアを作物が吸収利用する。したがって肥効はやや遅い。葉に直接かかると枯死するので、使用には注意が必要である。
(5)ウレイド態肥料、ウレイン態肥料 イソブチリデン二尿素(IB)、ウレアホルムがある。尿素とアルデヒド類との縮合物であり、水には溶けにくく、作物にはゆっくり効いてくる緩効性の窒素肥料である。
(6)グアニジン態肥料 グアニル尿素がある。石灰窒素の変成物の一つであり緩効性である。主として水田に用いられている。[小山雄生]
リン酸質肥料
リン酸を主成分とする肥料のことで、一般に含まれている主成分のリン酸の各種溶剤に対する溶解性により、(1)水溶性、(2)可溶性およびク溶性、(3)不溶性に分類される。可溶性とはアルカリ性のペーテルマンクエン酸アンモニア液に溶けるリン酸のことをいい、ク溶性とは2%クエン酸液に溶けるリン酸のことをいう。
(1)水溶性リン酸肥料 過リン酸石灰、重過リン酸石灰、リン安、液体リン肥などがある。過リン酸石灰Ca(H2PO4)2・H2O+2CaSO4・2H2Oはリン酸質肥料でもっとも古く、よく使用されている。含まれるリン酸は大部分が水溶性であり植物によく吸収利用される。しかし水溶性のため土壌中の鉄やアルミニウムと結合して不可給態となりやすいので、酸性土壌では肥効が劣る。重過リン酸石灰は石膏(せっこう)を含まない分だけリン酸含量が高いが、肥効、取扱いなどは過リン酸石灰と同様に考えてよい。リン酸アンモニアは水溶性であり肥効は高いが、吸湿性が強いのが難点である。製品は粒状化されているが、吸湿させないよう取扱いにはとくに注意が必要である。
(2)可溶性リン酸肥料およびク溶性リン酸肥料 溶成リン肥、焼成リン肥などがある。作物による吸収は水溶性リン酸肥料ほど速やかではないが、土壌による固定も少なく、またケイ酸、苦土などの副成分も含まれており、しかも塩基性であるので、火山灰土壌の土壌改良剤として多量に施用されている。溶成リン肥は溶融方式によって製造されるリン酸肥料の総称であるが、日本では普通、溶性苦土リン肥のことをいう。過リン酸石灰と並びリン酸肥料の双璧(そうへき)である。
(3)不溶性リン酸肥料 日本では使われていないが、リン鉱石を微粉末にしたものが一部の国で使用されている。これは土壌中で長期間にわたって徐々に分解し多少の肥効を示す。[小山雄生]
カリ質肥料
カリ(カリウム)を主成分とする肥料をいい、硫酸カリK2SO4、塩化カリKClなどがその代表的なものである。ともに水溶性で作物によく吸収利用される。おもに元肥として用いられるが、追肥としても用いられる。草木灰は家庭用のカリ肥料として重宝である。これらのカリ肥料はいずれも速効性であるが、現在ではケイ酸カリ肥料など難溶性の緩効性カリ肥料も開発され市販されている。[小山雄生]
石灰質肥料
生石灰(酸化カルシウム)CaO、炭酸カルシウムCaCO3、消石灰(水酸化カルシウム)Ca(OH)2、苦土石灰などがある。主として土壌の酸性を矯正するために施されるもので施用量も普通の肥料に比べかなり多い。施用にあたってはなるべく土と均一によく混ざるようにするとよい。[小山雄生]
苦土質肥料
硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、腐植酸苦土などが用いられる。作物が苦土欠乏をおこしやすい酸性土壌に施される。苦土石灰、溶成リン肥も苦土が含まれているので、苦土欠乏を防ぐのに効果がある。[小山雄生]
ケイ酸質肥料
ケイ酸石灰などの鉱滓(こうさい)には薄い酸に溶けるケイ酸が含まれていて、水稲などの禾本(かほん)科(イネ科)植物でとくに有効である。畑作物の場合では、土壌のアルミニウム性を低下させる効果があるので、土壌改良剤として多量に施されることがある。[小山雄生]
微量要素肥料
微量要素(微量養素ともいう)のうちで現在認められているものはマンガンとホウ素の2元素である。このほかでは葉面散布剤として鉄、銅、亜鉛、モリブデンなどの微量元素の混入が許されている。マンガン質肥料としては硫酸マンガン肥料、硫酸苦土マンガン肥料および鉱滓マンガン肥料の3種類がある。ホウ素質肥料にはホウ酸塩肥料およびホウ酸肥料の2種類がある。[小山雄生]
複合肥料
作物養分を2種類以上含むもので、単肥を混合した配合肥料と、製造過程で化学反応をおこさせた化成肥料とがある。この種の肥料の消費量は近年急激に増加し、一般に使用される肥料の多くがこの複合肥料となっている。一つの養分しか含まない単肥に比べて手間が省けることが消費の伸びた原因の一つである。各製造業者から特徴をもった各種銘柄の複合肥料が製造販売されている。微量要素を含む複合肥料もあり、なかでも溶成微量要素複合肥料は普通FTEとよばれ、ホウ素5%以上、マンガン10%以上の含有が保証されている。また副成分としてケイ酸、鉄、銅、亜鉛、モリブデンなどを含み、微量元素の総合的補給に有効である。[小山雄生]
有機質肥料
有機質肥料とは、天然の有機物のうちで作物に有効な肥料成分を含んでいるものをいう。肥料取締法では動植物質のものに限ると規定されている。このうちで原料が同一で肥料成分含量、品質が比較的安定しているものは公定規格が定められ、普通肥料として取り扱われる。魚粕(ぎょかす)粉末などの魚粕類、菜種油かす、ひまし油かす、米糠(こめぬか)油かすなどの油かす類、生(なま)骨粉、蒸製骨粉などの動物性廃棄物類など42種類がある。一方、成分含量や品質が一定していないものは特殊肥料として普通肥料とは区別して取り扱う。これには家畜家禽(かきん)の糞(ふん)、堆肥(たいひ)、汚泥肥料、人糞尿などがある。
 有機質肥料は一般に化学肥料に比べて成分含量は低く、土壌に施用された場合には何日かの分解期間が必要である。また、成分の分解速度が野菜や花などの鉢植え植物の生育とよく適合することから、園芸作物などに好んで使われている。これは化学肥料では代替しにくい肥効の調節ができること、適量を超えて過剰に施肥した場合でも濃度障害がおこりにくいなどの特徴による。また昔から、有機肥料を用いると果物や野菜の味、着色、日もちがよくなるなど品物に及ぼす効果も知られている。これは有機肥料を用いると作物の要求に適合した窒素、リンなどの順調な養分の供給が行われる結果、品質が向上するものと考えられるが、公的な試験研究から答えを出すまでには至っていない。今日、品質と安全性の面から有機農産物が注目されている。有機農法を行っている農家では、油かす、骨粉、魚粕などに米糠、山土、籾殻(もみがら)などを配合し、適度な水分を加えて十分に発酵させて作成したいわゆる「ぼかし肥」を用いている。ぼかし肥は、一般に窒素成分1~2%程度とかなり低いものが多く、長期に大量施用される結果、有機農法の土壌は有機物が蓄積し、団粒構造の発達と生物相が豊かになるなど土壌環境の改善が期待できる。なお、2011年(平成23)に起きた福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質が放出されたため、肥料に利用する放射性物質を含む汚泥の取扱いが1キログラム当り200ベクレル以下に規制された。[小山雄生]

特色のある肥料

特色のある肥料としては、物理的なコーティングにより溶出を抑制した肥効調節型の被覆肥料がある。コーティング材料としてはポリオレフィン系樹脂、アルキド樹脂などが用いられる。肥料成分の作物による吸収利用が高くなるので、環境への損失が少なく環境保全的な効果がある。また、施用時の省力を図る目的で、農薬を混合した農薬入り肥料が開発されている。さらに水稲側条施肥の発展に対応して、ペースト肥料や機械施肥に適応性の高い化成肥料の改良も進んでいる。[小山雄生]

肥料の施し方(用量)

肥料の施し方は、栽培される作物の種類や施す時期と回数、地域や土壌の違い、用いる肥料の種類またはその年の気象、農産物価格などの不確定な要因によっても違ってくる。したがって規格統一的に述べることはできないので詳細については他の専門書を参照されたい。作物の種類によって施される肥料の用量も大きく違う。これは作物の種類や収量、栽培される土壌の違いなどによって、吸収利用される養分の種類や量がそれぞれ大幅に違ってくるためである。[小山雄生]
『塩谷正邦著『新選肥料実用便覧』(1962・養賢堂) ▽高井康雄・早瀬達郎・熊沢喜久雄編『植物栄養・土壌・肥料大事典』(1976・養賢堂) ▽田中明・出井嘉光・中山利彦監修『施肥のすべて』(1977・北海道協同組合通信社) ▽奥田東著『肥料学概論』増訂改版(1987・養賢堂) ▽伊達昇編『便覧 有機質肥料と微生物資材』(1988・農山漁村文化協会) ▽高橋英一著『肥料の来た道帰る道――環境・人間問題を考える』(1991・研成社) ▽山崎耕宇・杉山達夫・高橋英一・茅野充男・但野利秋・麻生昇平著『植物栄養・肥料学』(1993・朝倉書店) ▽伊達昇・塩崎尚郎編著『肥料便覧』第5版(1997・農山漁村文化協会) ▽藤原俊六郎・安西徹郎・小川吉雄・加藤哲郎編『土壌肥料用語事典』新版(1998・農山漁村文化協会) ▽日本土壌肥料学会編『土壌・肥料・植物栄養学用語集』(2000・養賢堂) ▽山根一郎・岡崎正規著『土壌肥料』(2001・全国農業改良普及協会) ▽肥料用語事典編集委員会編『肥料用語事典』改訂5版(2001・肥料協会) ▽植物栄養・肥料の事典編集委員会編『植物栄養・肥料の事典』(2002・朝倉書店) ▽肥料協会新聞部編『肥料年鑑』各年版(肥料協会) ▽農林水産省生産局生産資材課監修『ポケット肥料要覧』各年版(農林統計協会)』

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世界大百科事典内の肥料の言及

【園芸】より

… 明治時代に入ってからは新宿御苑や小石川植物園などに温室もつくられ,ヨーロッパの花卉や熱帯植物の数々が導入され,育成されるようになった。大正・昭和時代にかけて導入された植物の種類や品種はおびただしい数量になったばかりでなく,化学工業に伴って肥料,薬剤などが発展し,経営も合理化されて大型化し,技術も向上した。また近年では,植物名もとくに和名をつくらず,属名,学名をそのままかたかな読みすることが多くなった。…

【近世社会】より

…農業に必要な資材や,生活に要する道具類はみずから生産しなければならない。農具の木製部分や肥料,生活に必要な家屋・燃料・衣類も,典型的にはみずから生産する。鍬や鎌の供給については,広く各地の初期の状態についての研究はないが,たとえば上田藩や米沢藩では領内の鍛冶屋の製品や,ときには他藩の製品も一度藩の手に集められて,百姓に供給されている。…

【ナタネ(菜種)】より

…その他,機械油や薬用,軟膏の基剤としても使われる。油を絞ったかすが油かすで,飼料および園芸用肥料として重要である。アブラナ【星川 清親】
[江戸時代のナタネ作と油]
 山城の大山崎離宮八幡宮,摂津の住吉大社の神人(じにん)や奈良興福寺大乗院の寄人(よりうど)らが行っていた中世の製油では,油料原料の第1はエゴマ(荏胡麻)であったが,17世紀大坂に展開した製油業ではすでにナタネがこれにとって代わっており,ナタネは綿実とともに近世の主たる油料原料となった。…

【農業】より

…畜力利用(耕耘,運搬など)が進んだのは第2次大戦前後,中・小型の農業機械が普及してきたのは1950~60年代以降で,それまでは基本的に手労働の農業であった。また肥料の多用も顕著な特徴で,こうして多肥多労の集約農業として展開し,土地生産性(単位面積当り収量)が高く,またそれを追求することが主要な方向とされてきた。(3)耕地の約半分を占める畑地で,多種多様な畑作物の生産がなされてきたことである。…

【村中入会】より

… 入会林野の利用の内容は村法として規定される。〈山の口明(くちあけ)〉に始まる利用期間が定められ,自給用の採草(肥料,飼料),薪炭採取に限られる。用水施設の土木用材,自家建築用の用材,屋根のための萱などとしての利用も,村を枠組みにした自給自足の生産・生活にともなう村仕事として行われる。…

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