日本大百科全書(ニッポニカ) 「種播き機」の意味・わかりやすい解説
種播き機
たねまきき
播種(はしゅ)機ともいう。播種の方法には条播(じょうは)、点播(てんぱ)、散播(さんぱ)の3種がある。作物の種類や作付け様式により、いろいろな形式の種播き機が用いられている。これらの機械は種子ホッパー、繰り出し部、誘導部および接地部からできており、播種むらのない作業をすることができる。
条播機は、おもにムギ類や雑穀の播種に用いられ、接地部ですじ状に一定の深さに播種し覆土する機械であり、点播機は、豆類、トウモロコシなど種子の形態別に異なる排種装置で、一定間隔ごとに1、2粒の種子を落下させ、覆土していく機械である。形式は、人力用の1条播き機からトラクター利用の多条播きまで各種の大きさがある。これら点播機、条播機には、播種と同時に適所に施肥する装置を組み込んだトラクター用の施肥播種機が開発され、1980年代から畑作地域で使われ始めた。さらに2000年代から、水稲作の省力化を目的として、苗をつくらず、水を張った田に播種する水稲湛水直播(たんすいちょくはん)にこれらの装置を用いるべく、栽培管理法の研究とともに、その利用が試みられている。
散播機は、牧草やムギなどの種子を、ホッパーの下部にある羽根車の遠心力または風力によって飛散させて播種するもので、人力用や小型動力用がある。この装置を小型飛行機に取り付けた播種作業が、アメリカの大規模圃場(ほじょう)などで行われている。
[宮澤福治]