日の岡古墳(読み)ひのおかこふん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日の岡古墳」の意味・わかりやすい解説

日の岡古墳
ひのおかこふん

福岡県うきは市吉井町若宮(よしいまちわかみや)、若宮八幡宮(はちまんぐう)境内にある全長80メートルの前方後円墳。頂上は削平(さくへい)されており、南西のくびれ部に開く単室横穴式石室がある。1887年(明治20)に発掘され羨門(せんもん)を閉鎖した。現在は天井部から出入している。石室は胴張りを有し、通路まで加えて全長5.1メートル。玄室の長さ4メートル、同最大幅2.7メートルを測る。安山岩割石(わりいし)積みの壁面から天井にかけて同心円文と三角文を主体とする彩色壁画が描かれており、赤、緑、白の三色が使用されている。奥壁には、三色による同心円文6個が上下二段に配置される。左右壁には、盾(たて)、靫(ゆき)、刀、獣、魚などがみられる。6世紀前半から中ごろに相当する、筑後(ちくご)地方の代表的装飾古墳である。1887年、坪井正五郎(つぼいしょうごろう)によって紹介された。国指定史跡。

[小田富士雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の日の岡古墳の言及

【装飾古墳】より

… 横穴式石室の壁面に彩色による壁画を描いたものでは,同心円,三角形,蕨手文(わらびでもん)などの抽象的文様と,靫,盾,大刀,舟などの器物と,人馬犬鳥などとの,大別すれば3種類の要素を組み合わせて用いている。たとえば,福岡県日ノ岡古墳のように,抽象的文様を主とするもの,福岡県王塚古墳のように,主室の壁画は器物を主として抽象的文様を加え,前室の壁画は人馬像を主として,余白を抽象的文様でうずめたもの,福岡県五郎山古墳のように,器物と人馬犬鳥とを用いたものなどの,各種の組合せを見いだすことができる。関東地方の茨城県虎塚古墳の場合は,靫,盾,鞆(とも),大刀,矛などの器物と,三角形,円文,渦文などの文様との組合せであるが,赤1色を用いた彩画に先立って,壁面に白色粘土の下塗りを行っているのが特色である。…

※「日の岡古墳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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