改訂新版 世界大百科事典 「日本歳時記」の意味・わかりやすい解説
日本歳時記 (にほんさいじき)
歳時記。書名は《重鐫(じゆうせん)日本歳時記》また《榑桑(ふそう)歳時記》ともいう。貝原好古(かいばらこうこ)著,貝原損軒(益軒篤信)刪補(さんほ)。1688年(貞享5)3月,京都日新堂刊。大本7巻7冊。半紙本4冊もある。凡例に〈三百六旬の間の故実雑事を,唐土の文に出たるをば我国の文字にやはらげ,又我国の事をば見もし聞けるにしたがひて書つゞけ侍りぬ〉と述べて,民間を対象に歳時の事宜を叙述した。四季12ヵ月に分かち,各月に公事,祭礼,農事,衣食等を年中行事風に配列し,異名,漢名,来由,故事を説き,図解や詩歌の作例をも掲げるなど啓蒙的な歳時記である。古来俳人の間でも利用され,1849年(嘉永2)までに7回も版を重ねている。《益軒全集》第1巻に収録。
執筆者:安藤 武彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報