日本大百科全書(ニッポニカ) 「昇平夜話」の意味・わかりやすい解説
昇平夜話
しょうへいやわ
江戸時代の武士の教訓書。上下2編、10巻。無苗氏著。1796年(寛政8)成立。無苗氏は、越後(えちご)(新潟県)長岡藩の儒者高野常道。上編は、本務当務・武備・政事・風俗・心術・諫諍(かんじょう)・飲食・家居・衣服・倹約・世子(せいし)・閨門(けいもん)・非常・雑事の14章からなり、おもに諸侯に関する雑話を記し、下編は、風俗・賞罰・武備・文武・節倹・士魂・俸禄(ほうろく)・諸役人・衣服・飲食・家居・雑事の12章に分かれ諸士の心得となるべきことを述べる。下編付録「足軽以下農工商大意」では、当時の庶民階層の実情にも言及している。江戸時代の政治経済思想をうかがいうる著作である。『続日本経済叢書(そうしょ)』『日本経済大典』所収。
[竹内 誠]