春近(読み)はるちか

日本歴史地名大系 「春近」の解説

春近
はるちか

現糸貫町春近に比定される国衙在庁の最有力者が保持する国衙領の名。長禄三年(一四五九)一二月日の島田益忠庭中言上状案(蜷川家文書)に美濃国「四ケ春近」とみえ、美濃国内には四ヵ所の春近があり、そのうちの一ヵ所が席田むしろだ郡にあった。それらは一括して益忠高祖父土岐善忠・曾祖父土岐満貞の代まで土岐氏が知行してきたが、それ以降不知行化してしまったので、益忠は代官職に還補されるよう願出ている。国衙領のある部分は国衙の権能を吸収した守護に引継がれ、守護領に変化しているので、当地も善忠・満貞の代まで守護領として土岐氏が知行してきたが、明徳元年(一三九〇)の土岐氏の乱で幕府に没収されたと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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