改訂新版 世界大百科事典 「是円」の意味・わかりやすい解説
是円 (ぜえん)
鎌倉末~南北朝初期の明法家。生没年不詳。中原章賢の法名。また是円房道昭ともいう。章継の子。1292年(正応5)右衛門尉が初見,1312年(正和1)以前に出家。建武中興政府の雑訴決断所に法体で出仕したが,その瓦解とともに足利氏に属し,36年(延元1・建武3)11月,尊氏の諮詢に答えて提出したのが《建武式目》である。同書に署名している真恵は是円の弟で46年(正平1・貞和2)65歳で死亡しているから,是円の生没年もほぼ推定しうる。従来,是円を鎌倉幕府評定衆二階堂氏とみていたが,中原氏と判明したことは《建武式目》の評価にも影響があろう。是円は公家法のみでなく武家法にも詳しく,《御成敗式目》の注釈書(いわゆる是円抄)を著している。
執筆者:今江 広道
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報