化学辞典 第2版 「時間分解スペクトル」の解説
時間分解スペクトル
ジカンブンカイスペクトル
time-resolved spectrum
化学反応に伴って生成消滅する反応中間体の濃度の時間変化を示すスペクトル.1950年前後から,化学反応における生成物や中間体の濃度の時間変化を光吸収によって直接観測することが行われるようになり,せん光光分解法(R. Norrish(ノリッシュ),G. Porter(ポーター))や化学緩和法(M. Eigen(アイゲン))などが開発された.一方,X線や電子線のパルスをエネルギー源とするパルスラジオリシス法(E.S. Hart,J.W. Boag,L.M. Dorfman)も1960年代には確立し,さらにパルスレーザーの登場により,対象によってはLIF(レーザー誘起蛍光)の観測が可能になり,化学反応の研究における時間分解スペクトルの測定は広く一般化した.現在は 10-12 s の変化まで測定されるようになっている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報