曲舞・久世舞(読み)くせまい

精選版 日本国語大辞典 「曲舞・久世舞」の意味・読み・例文・類語

くせ‐まい ‥まひ【曲舞・久世舞】

〘名〙
① (正式でない舞の意で、正舞に対する語) 南北朝時代から室町初期にかけて流行した芸能。また、それを演ずる人。簡単な舞を伴い、鼓に合わせて歌う叙事的な歌謡。白拍子舞から派生したという。少年や美女が立烏帽子(たてえぼし)、水干(すいかん)大口(おおくち)の男姿で演じるのが喜ばれ、また、直垂(ひたたれ)、大口姿の男や声聞師(しょうもんじ)も演じた。幸若舞もこの芸能の一つ。
謡曲山姥(1430頃)「山姥(やまンば)の山巡りするといふことを曲舞に作り」
② 謡曲の音節の部分の名称。観阿彌が①を能に取り入れたもので、拍子に合わせて曲舞がかりで謡われる。くせ。
※三道(1423)「其後、又、曲舞にてもあれ、只謡にてもあれ、一音曲、一段」
能楽の喜多・金剛流で、闌曲(らんぎょく)別称

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報