デジタル大辞泉
「闌曲」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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らん‐ぎょく【闌曲・蘭曲・乱曲】
- 〘 名詞 〙
- ① ( 「らんきょく」とも ) 世阿彌の能楽論で、音曲の曲趣を五つに分類したうちの一つ。闌(た)けた位の音曲。祝言・幽曲・恋慕・哀傷などのすべてにわたり、しかもすべてを超越した自在な曲風。
- [初出の実例]「音曲に祝言・幽曲・恋慕・哀傷・闌曲の五音曲是あり〈略〉闌曲者(といっぱ)高上の音声也」(出典:五音曲条々(1429‐41頃))
- ② 謡曲の一節で、独吟などにするために、謡い手の自在な技法を聞かせるのにふさわしい部分を独立させた曲。全曲としては廃され、クセを中心とした部分だけ残された例が多い。曲舞(くせまい)。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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闌曲 (らんぎょく)
能の用語。蘭曲,乱曲とも書き,流派によって曲舞(くせまい)ともいう。古くは祝言,幽玄,恋慕,哀傷とともに五音曲の一つを示していた。五音曲は謡の分類用語で,他の四つが情趣の区別による分類であるのに対し,闌曲はそれらを超越した自由な謡い方を意味した。のちに,そうした謡いどころのある曲のうち,上演のまれな曲だけを集めるようになり,それらを闌曲と呼ぶようになった。流派によって曲舞と呼ぶのは,これらの曲がサシとクセから成るものが多いためである。謡い物として各流派に伝承されてきたために,古いフシが残っていたり,細部の技巧が発達したりしている面がある。闌曲は独吟(どくぎん)が原則だが,観世流小鼓には,闌曲の譜としてシテ方観世流の相手をする一調(いつちよう)の譜があるという。現行の闌曲は62曲で,17曲は現在も能として上演されている曲の一節(《花筐(はながたみ)》など)であり,45曲は《松浦物狂》や《横山》《舞車》のように,能としては上演されなくなった曲か,《東国下》や《西国下》のように最初から謡い物として作られた曲である。いずれも,最高の芸位と技巧を必要とする謡い物である。
執筆者:松本 雍
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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闌曲【らんぎょく】
能の用語。蘭曲,乱曲とも。多くクセの部分の詞章を用いるので曲舞(くせまい)と呼ぶ流儀もある。世阿弥が最高の芸位とする〈闌(た)けた〉曲のことで,自在なうたい方を生命とし,独吟としてまれに上演される。《初瀬六代》《東国下(くだり)》《西国下》を特に重んじて三曲という。
→関連項目曲舞
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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闌曲
らんぎょく
能楽用語。「蘭曲」「乱曲」とも書く。多くクセの部分をうたうところから,流派により曲舞 (くせまい) ともいう。闌 (た) けたる曲の意で,謡で最高とされる境地,高度な特殊な謡物をさす。おもに独吟で囃子,舞を伴わない。重習 (おもならい) で,ワキ方も含め約 60曲を伝える。 (→習物 )
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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