大口(読み)おおくち

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

大口
おおくち

鹿児島県北部,伊佐市の中・北部を占める旧市域。大口盆地の北部に位置する。1954年大口町,山野町,羽月村,西太良村の 4町村が合体して市制。2008年菱刈町と合体して伊佐市となった。中心市街地の大口は,中世には菱刈氏の支配下にあったが,永禄12(1569)年薩摩藩の領地となり,新納忠元が地頭となった。1877年の西南戦争では官軍と西郷軍の激戦地。地方官公庁の出先機関が集中。周辺の農村部では伊佐米の産が多く,タバコ,サツマイモも栽培。伝統産業として焼酎醸造業も盛ん。牛尾はかつて金を採掘。祁答院家住宅(けどういんけじゅうたく),八幡神社本殿は国の重要文化財に指定。南部に幅約 200m,落差 12mの曽木の滝があり,川内川流域県立自然公園に属する。

大口
おおぐち

大口袴 (おおぐちのはかま) ともいい,束帯着用の際の表袴 (うえのはかま) の内側にはく袴のこと。裾口が大きく開いているところからこの名があり,通常は表裏とも紅 (くれない) の平絹を用いるところから赤大口ともいった。一方,能装束での大口は,前面を精好織と呼ぶ精巧緻密な絹織地,後面は緯畝織 (ぬきうねおり) の堅い地質を用いた半袴のことで,色柄の相違によって,白大口色大口,紋大口などの呼称がある。

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デジタル大辞泉の解説

おお‐くち〔おほ‐〕【大口】

《「おおぐち」とも》
大きな口。大きく開けた口。「大口を開けて笑う」
おおげさなことをいうこと。偉そうにいうこと。「大口をたたく」「大口を利く」
売買や取引などで、金額が多いこと。「大口の寄付」⇔小口(こぐち)
茶道具の一。柄のない片口(かたくち)状の置き水指し。
大口袴(ばかま)」の略。
猥談(わいだん)。
「まして色の道…―いふより外(ほか)はなし」〈浮・一代女・一〉

おおくち【大口】[地名]

鹿児島県北部にあった市。平成20年(2008)菱刈町と合併して伊佐市となる。→伊佐

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百科事典マイペディアの解説

大口【おおくち】

裾(すそ)口の大きい切袴(きりばかま)。平安時代,貴族の束帯構成で表袴(うえのはかま)の下に用いられた。赤の平絹(ひらぎぬ)で作られ赤大口ともいう。今日では能や歌舞伎に使用。
→関連項目

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世界大百科事典 第2版の解説

おおくち【大口】

袴(はかま)の一種。裾口が広いところから出た名称。束帯(そくたい)の構成では表袴(うえのはかま)の下につける赤色平絹の切袴をいう。今日,能や歌舞伎に使用されている大口は,後部が平たくて堅く,角張っている。普通,白の精好(せいごう)でできたものが多く用いられ白大口という。ほかに緋大口(ひのおおくち),紫,浅葱(あさぎ),緑などの色大口,模様大口などがあり,それぞれ役柄や用途によってちがいがある。たとえば能では白大口,色大口は男女の役ともに用いるが,緋大口は女に,模様大口は公達などに用いる。

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大辞林 第三版の解説

おおくち【大口】

〔「おおぐち」とも〕
大きな口。大きく開いた口。 「 -をあけて笑う」
偉そうなことを言うこと。 「 -をたたく」
売買や取引の、金額や数量の多いもの。 ⇔ 小口 「 -の注文」
大口袴ばかま」の略。
茶道で、水屋道具の一。水指みずさしに水を注ぐ、大きな注ぎ口のついた鉢。
大口話」に同じ。 「心のうき立つ程-いふより外はなし/浮世草子・一代女 1

おおくち【大口】

鹿児島県北部の市。米作・畜産・林業が盛ん。史跡・景勝が多く、川内川流域は県立自然公園。

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精選版 日本国語大辞典の解説

おお‐くち おほ‥【大口】

[1] 〘名〙 (「おおぐち」とも)
[一]
① 大きな口。大きくあいた口。
※宇治拾遺(1221頃)二「この磐(いはほ)を見るに、誠に龍の大口を明きたるに似たり」
② みだらな話。猥談(わいだん)。おおぐちばなし。
※浮世草子・好色一代女(1686)一「ふんどしかきながら女中同前の男、心のうき立程、大口(オホグチ)いふより外はなし」
③ おおげさなことを言うこと。言いたいほうだいに言いちらすこと。
※玉塵抄(1563)一九「王充と云者あり〈略〉東の方は函谷関とぢてふうじかためてをかうと云たぞ、大口なことぞ」
④ 売買や取引などの額や数がまとまって多いこと。⇔小口
※鱧の皮(1914)〈上司小剣〉一「四十人前といふ前茶屋の大口が焼き上って、二階の客にも十二組までお愛そを済ましたので」
⑤ 茶道具の一種。片口に似て、柄がなく口が広いもの。釜や水指しに水を入れるのに用いる。
[二] (「おおくちばかま(大口袴)」の略) 裾の口が広い袴をいう。大口の袴。
① 下袴の一種。束帯の時に表袴(うえのはかま)の下のはきものとして用いる。平絹(へいけん)・精好(せいごう)の類で仕立てて、赤染めを普通とするが、老人は白のままとした。赤大口。赤袴。
※枕(10C終)一三四「おほぐち、またながさよりは口ひろければ、さもありなん」
② 下袴の一種。指貫(さしぬき)や直垂(ひたたれ)の袴の下にはく。前面を精好、後面を大精好(おおせいごう)で仕立てて、後腰(うしろごし)を張らせて着用する。込大口(こみおおくち)。後張(うしろばり)の大口。風流(ふりゅう)の時は上の袴を省略して用い、能装束の着用にその様式を伝えている。
※高倉院厳島御幸記(1180)「さまざまの花をつけて、大くちを着て、田楽つかうまつる」
③ 童形装束で半尻(はんじり)所用の時にはく袴。前面を大精好、後面を精好で仕立てる。前張(さいばり)の大口。前張。
④ 能装束の一つ。後部を左右に強く張った袴。生絹でつくる。生地の色で、白大口、緋大口、緋以外の色を地とする色大口、模様大口などに分けられ、大臣・僧・武将・女など、それぞれの役柄によって使い分けをする。
※申楽談儀(1430)能の色どり「脇の能、大臣には、先は、上下水干成べし。つれ大臣は大口也」
⑤ 歌舞伎の衣装の一つ。能装束からとった袴。能の形式を模した松羽目物(まつばめもの)に多く用いられる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
⑥ 股引き、パッチをいう、演劇社会の楽屋言葉。
[2] 鹿児島県北部の地名。宮崎、熊本両県に通じる交通の要地で、江戸時代は島津氏の直轄地。牛尾は金山の町として栄えたが、現在は閉山。昭和二九年(一九五四)市制。

おおぐち おほぐち【大口】

姓氏の一つ。

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