有丈（読み）ありたけ

精選版 日本国語大辞典

あり‐たけ【有丈】

1. ( 「ありだけ」とも。動詞「あり」に接尾語「たけ」の付いたもの )
2. [ 1 ] 〘 名詞 〙 あるもの全部。また、力、能力などのすべて。ある限り。ありったけ。あるたけ。ありめのたけ。
   1. [初出の実例]「装束之衆悉皆ありたけ何かに十七八人」(出典：大乗院寺社雑事記‐文明一一年（1479）七月一四日)
   2. 「ありたけの懐中物を帯の間から取出してみると」(出典：或る女（1919）〈有島武郎〉後)
3. [ 2 ] 〘 副詞 〙 ある作用や行為が可能の限度までなされるさまを表わす語。できるだけ。思う存分。ありったけ。
   1. [初出の実例]「ヲヲ頼もしい命かけて頼んだと有たけそやされ」(出典：浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節（1707頃）中)

ありっ‐たけ【有丈】

1. ( 「ありたけ（有丈）」の変化した語。「ありたけ」を強めていう )
2. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ＝ありたけ（有丈）[ 一 ]
   1. [初出の実例]「そりゃ小説家が有りっ丈の拵へ事を書き並べて長くするから」(出典：何処へ（1908）〈正宗白鳥〉六)
3. [ 2 ] 〘 副詞 〙 ＝ありたけ（有丈）[ 二 ]
   1. [初出の実例]「万才を下女ありったけ笑ふ也」(出典：雑俳・柳多留‐七（1772）)

ある‐たけ【有丈】

1. 〘 名詞 〙 ( 「あるだけ」とも。「たけ」は、すべて全部の意 ) ＝ありたけ（有丈）
   1. [初出の実例]「吾が才智のあるたけをのこさずつくいて」(出典：玉塵抄（1563）二二)
   2. 「彼女は有るだけの言葉を父の前に並べ立てた」(出典：道草（1915）〈夏目漱石〉六四)

出典　精選版 日本国語大辞典