有輪犂(読み)ゆうりんすき

山川 世界史小辞典 改訂新版 「有輪犂」の解説

有輪犂(ゆうりんすき)
wheeled plough[英],charrue[フランス],Räderpflug[ドイツ]

ゲルマン犂,重量有輪犂,方形犂とも呼ばれる。中世以来近代まで,ヨーロッパで広く用いられた車輪付きの大型犂。馬や牛に引かれて,犂刃が湿潤な土壌を切り開き,犂先が深く掘り起こし,撥土板(はつどばん)が土塊を反転させて耕すことによって,農業生産性を向上させた。中世には,開放耕地制三圃(さんぽ)制と結びついて,村落全体で共同運用され,村落共同体形成を促した。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の有輪犂の言及

【ウマ(馬)】より

…またヨーロッパで耕作用の馬利用がおおいに展開したのは北欧である。犂耕技術が地中海地域から北欧に導入され,深耕用の有輪ゲルマン犂が北欧に普及するとともに,北欧では11~12世紀ころから,6頭立て,12頭立てといった馬を連ねた有輪犂による土地開発が開始された。地中海地域のイタリアやスペインにも2頭立ての有輪犂による馬耕は認められたが,北欧の森林地帯の開墾には,重い有輪犂による深耕が必要であり,馬は近代に至るまで,北欧農業には欠かせぬ犂耕用家畜となった。…

【麦】より

…しかし,後述する東南アジアや東アジアほどには湿潤でなかったから,2年間は冬作物と夏作物を無除草で栽培することができる。しかし,3年目には雑草の繁茂によって麦の生長は著しくさまたげられるから,休閑して,馬6~12頭に引かせた大型重量の有輪犂で夏に2回深耕し,雑草を埋め殺す。そうすると,再び2年間は無除草で麦を栽培することができる。…

※「有輪犂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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