開放耕地制(読み)かいほうこうちせい(その他表記)Open-field system

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「開放耕地制」の意味・わかりやすい解説

開放耕地制
かいほうこうちせい
Open-field system

ヨーロッパの中世から近代初期にかけてみられた農地制度。封建社会で,一部の山岳地帯などを除き,一般に発達した集村形態の村落共同体と結びついている。村の耕地を2つまたは3つの耕圃に分ち,各耕圃をさらにいくつかの耕区に分けたうえで,それぞれの耕区に農民は細長い長方形の地条を1つずつ保有するが,これらの地条に対する農民の利用権は完全なものではなく,耕圃を単位として村全体が共同で農耕を行うのが特徴である。作付け収穫も同じときになされ,収穫後は村民家畜が共同で放牧された。領主牧羊農業経営合理化のために,この制度をこわし,垣根や柵で耕地を囲い込むことをエンクロージャーという。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「開放耕地制」の解説

開放耕地制(かいほうこうちせい)
open field system

西ヨーロッパ封建社会の農村の多くがとっていた集村形態の耕地のあり方。村の耕地は全体が二つまたは三つの耕圃(こうほ)に分かれ,各耕圃はさらにいくつかの耕区に分かれ,この耕区に農民はそれぞれ細長い長方形の地条を一つずつ有していた。しかし,これらの土地は農民各自の完全な私的利用のもとには置かれず,耕圃を単位として村全体が一致して農業を運営した。作付け,収穫も同一時期に行い,収穫後は,村民の家畜のための共同放牧として開放された。

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