未臨界核実験(読み)みりんかいかくじっけん(その他表記)sub-critical experiments

日本大百科全書(ニッポニカ) 「未臨界核実験」の意味・わかりやすい解説

未臨界核実験
みりんかいかくじっけん
sub-critical experiments

高性能火薬の爆発で生じた衝撃波を、古くなった核兵器プルトニウムにぶつけ、核爆発をおこす臨界状態寸前でとめる実験臨界前核実験ともいう。衝撃波をうけたプルトニウムの反応を観察することで、核兵器の弾頭の劣化状況など、安全性、信頼性確保に必要な情報が得られるとされる。アメリカは1997年7月と9月、98年3月、9月、12月、99年2月、9月、11月、2000年2月、3月と計10回実施したが、広島、長崎の非核団体や中国、インドなど一部非同盟諸国が核軍縮の流れに反するとして批判した。ロシアも明らかにされているだけで1998年9月から2000年9月までに計15回の実験を行っている。核爆発がおきたかどうかを地上で検証できないため、包括的核実験禁止条約CTBT)違反の可能性も指摘される。アメリカのエネルギー省は「核兵器の安全性と信頼性の維持がねらい。核爆発を伴わない未臨界核実験はCTBTに違反していない」としている。

[林 路郎]

 2002年2月にはイギリスもアメリカと共同で未臨界核実験を行っている。さらに2006年8月までにアメリカは通算23回の実験を行った。また、ロシアも2004年8月に未臨界核実験を行っていることを表明している。

[編集部]

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知恵蔵 「未臨界核実験」の解説

未臨界核実験

核爆発直前の核物質の物理的反応を調べる実験。公表された実施回数は、米国が1997年2月〜2006年9月に計23回、ロシアが98年9月〜00年9月に15回。米ロは爆発を伴わない核実験で、包括的核実験禁止条約(CTBT)に違反せず、現有核弾頭の信頼性維持などが目的主張。CTBTの精神に反する、新兵器の開発につながる、との批判が強い。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2008年)

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