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包括的核実験禁止条約 ほうかつてきかくじっけんきんしじょうやく comprehensive nuclear-test-ban treaty; CTBT

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

包括的核実験禁止条約
ほうかつてきかくじっけんきんしじょうやく
comprehensive nuclear-test-ban treaty; CTBT

全面的な核実験禁止条約。1963年に発効した部分的核兵器実験禁止条約 PTBTは,大気圏内,宇宙空間および水中での核実験を禁止しているが,これに地下実験の禁止も加えたもの。 1977年 10月,アメリカ合衆国イギリスソビエト連邦の 3国は包括的核実験禁止条約 CTBTの作成作業を開始したが,主として検証問題に関する意見の対立から 1980年に中断。

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知恵蔵2015の解説

包括的核実験禁止条約

核兵器の実験的爆発を禁止する条約。地下核実験、平和目的の核爆発、低威力の核爆発を伴う流体核実験など、爆発を伴う核実験を例外なく禁止することにより、新型核兵器の開発と現有核兵器の維持に制約を課す。ただし核実験場の閉鎖を定めず、また核保有国がすでに技術開発した未臨界核実験など爆発を伴わない核実験は禁止していない。そのため現有核兵器の信頼性の確認手段や、核保有国による新しい核兵器の技術開発の可能性を全く排除したわけではない。1996年、国連総会で採択。発効には軍縮会議加盟国で研究・発電の原子炉を保有する44カ国の批准が必要。交渉と批准は共に難航。インドなどは、NPT体制が無期限延長され、CTBTが爆発を伴わない核実験を許容するのは、核保有5カ国の核独占となり不当として反発。98年5月、インドとそれに対抗するパキスタン相次いで核実験を実施し、軍備管理体制全体を揺るがした。その後、印パはこの条約に署名する意向を示したが、2006年8月現在未署名。米国は1999年10月、上院が同条約の批准案を否決し、ブッシュ政権も批准放棄の方針をとっているなど、発効の見通しは立っていない。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

ほうかつてき‐かくじっけんきんしじょうやく〔ハウクワツテキカクジツケンキンシデウヤク〕【包括的核実験禁止条約】

シー‐ティー‐ビー‐ティー(CTBT)

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百科事典マイペディアの解説

包括的核実験禁止条約【ほうかつてきかくじっけんきんしじょうやく】

部分的核実験停止条約で除外された地下核実験を含めてすべての核実験を禁止する条約。Comprehensive Test Ban Treaty(略称CTBT)。ジュネーブ軍縮委員会核実験禁止特別委員会で検討が進められてきたが,インドが最後まで反対したため,国連総会で採択することを1995年に決定。
→関連項目原子力原子力管理水素爆弾リビア臨界前核実験

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大辞林 第三版の解説

ほうかつてきかくじっけんきんしじょうやく【包括的核実験禁止条約】

地下核実験を含め、すべての核実験を禁止する国際条約。1996 年(平成 8)、国連総会で採択。発効要件となる国のうち未批准国・未署名国があるため条約発効の見通しは立っていない。 CTBT 。 → 部分的核実験禁止条約

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

包括的核実験禁止条約
ほうかつてきかくじっけんきんしじょうやく
Comprehensive Nuclear Test Ban Treaty

大気圏内外、水中、地下のあらゆる核実験を禁止する条約。略称CTBT。とくに部分的核実験禁止条約(PTBT、1963年)で除外された地下実験を含んだことにこの条約の眼目がある。冷戦終結後、ソ連は1991年に、アメリカも1993年から核実験のモラトリアム(一方的停止)を実施していたこともあり、1993年にジュネーブ軍縮会議(CD)は翌年からのCTBTの本格的交渉、条約起草を開始するという合意にこぎ着けた。背景には冷戦終結による緊張の緩和、核兵器技術がすでに成熟技術となりそれほど実験を必要としなくなっていたことに加えて、冷戦後の地域的な情勢の不安定化や紛争に伴う核拡散への懸念から、側面からの核不拡散体制強化が必要になったこと、などがあった。このうち、核不拡散体制強化という要因は、1995年に核不拡散条約(NPT)の期限満了に伴う運用検討・延長会議で同条約の無期限延長が決議された際、同時に採択された「核不拡散と核軍縮の原則と目標」文書にCTBTの交渉を翌1996年中に完了することがうたわれたことで、いっそう明確化した。実験ができなければ核開発もむずかしくなるという考え方を反映したものである。これを受けてジュネーブ軍縮会議は1996年に条約案をほぼ完成したが、核廃絶の期限設定や条約発効の要件を不満としてインドが反対したため、全会一致方式をとる同会議は条約案を採択できなかった。インドは反対理由として、核兵器国による核廃絶を期限付きで具体的に定めていない問題をあげたが、同国の署名・批准を一方的に発効要件とされたことに対する反発も大きかった。
 オーストラリアなどが、その後この条約案を自国の決議案として国連総会に提出し、これが1996年9月10日、国連総会本会議で採択され(賛成158、反対3、棄権5)、同24日に署名のために開放された。条約は核爆発を伴うあらゆる実験を禁止し、他国の実験を慫慂(しょうよう)(誘いすすめる)、支持したりこれに参加することを禁じた。ただ「核実験」の意味にはあいまいさが残り、アメリカは爆発を伴わない臨界前実験は条約規定に抵触しないとして、未臨界核実験を続け、ロシアも同様の実験を行っている。条約の履行確保のために検証制度として締約国会議、執行理事会、技術事務局からなるCTBT機構(CTBTO)が設けられた。この技術事務局のもとに地震波、放射性降下物、微気圧変動、水中音響の四つの探知方式による300以上の監視・観測所を世界に設け、そのデータを国際データセンターに集めて分析し、1キロトン以上の核爆発が探知可能な国際監視制度(IMS)の構築が続けられている。核実験禁止体制の基盤として期待される。
 2010年2月時点の署名国は182か国、うち153か国が批准している。しかし発効には国際原子力機関(IAEA)が「世界の動力用原子炉」の表に掲げる核兵器開発能力のある44か国すべての批准という厳しい条件がついている。2010年2月時点で、44か国のうち批准国は35か国である。署名のみで批准していないのがアメリカ、中国、インドネシア、エジプト、イラン、イスラエル、署名もしていないのが北朝鮮、インド、パキスタンである。アメリカ上院は、現存核兵器の信頼性実験が必要になる可能性があることなどを理由に1999年批准を拒否し、交渉中から全面禁止に消極的であった中国も批准していない。インド、パキスタン(1989年5月)、北朝鮮(2006年10月)は核実験を行い、イスラエルやイランの核保有、開発の疑念が消えないことから、CTBT発効の不透明感はさらに大きくなっている。冷戦後、アメリカ主導の自由主義的な国際秩序に、安全保障上の不安を感じるいくつかの国家が、いよいよ核開発に強く執着する傾向がみられた。アメリカのオバマ政権が、2009年の発足直後に「核なき世界」のビジョンを打ち出したねらいの一つは、こうした膠着(こうちゃく)状況を打開することにあった。長期的に核軍縮規範を強化しながら、そのなかで国連安全保障理事会による制裁を含む不拡散実施体制の強化を図ろうとするものである。オバマ大統領は、2010年4月に米ロの新戦略兵器削減条約(新START条約、発効は2011年2月)に調印し、その際CTBT批准を次の一つの課題として掲げた。こうしてCTBT発効をめぐる動向は、今後の国際秩序を方向づける重要な課題となった。[納家政嗣]
『納家政嗣・梅本哲也編『大量破壊兵器不拡散の国際政治学』(2000・有信堂高文社)』

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