改訂新版 世界大百科事典 「朱載堉」の意味・わかりやすい解説
朱載堉 (しゅさいいく)
Zhū Zài yù
中国の暦法・楽律学者。明代神宗朝(1573-1619)の人。字は伯勤,号は句曲山人,鄭世子と称した。仁宗5世の孫,朱厚(しゆこうかん)の世子。父は嘉靖年間(1522-66)に鄭王の爵位を授けられたが,無実の反逆罪に問われて一時爵位を削られた。のちに復爵したが,載堉はそれを怒って19年間家に閉じこもった。父の没後爵位を他に譲り,律数の学問に没頭し,《楽律全書》を著して神宗に献呈した。《楽律全書》は,神宗による雅楽復興の試みに応じたもので,《律学新説》4巻,《楽学新説》1巻,《算学新説》1巻,《律呂精義》内編10巻・外編10巻,《操縵古楽譜》1巻,《旋宮合楽譜》1巻,《郷飲詩楽譜》6巻,《六代小舞譜》1巻,《小舞郷楽譜》1巻,《二佾綴兆図》1巻,《霊星小舞譜》3巻,暦法の書3種8巻,計48巻あり,中国の音楽書の代表的なものである。雅楽の楽舞譜7種のほか,律呂に関するものが大部分で,《律呂精義》では,古来の三分損益法による十二律は不等分律であり,13律目が1オクターブよりやや高いので,1オクターブを12等分するために,律管を用いて連比例の算出法により十二平均律を発明した。
執筆者:三谷 陽子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報