三谷(読み)さんや

精選版 日本国語大辞典 「三谷」の意味・読み・例文・類語

さんや【三谷】

  1. 〘 名詞 〙 尺八曲名普化宗(ふけしゅう)に属する虚無僧(こむそう)が吹いた曲。宗教曲でなく、芸術曲。それを吹く人や地方の名をかぶせて「神保三谷」「越後三谷」などがある。琴古流では「三谷菅垣(すががき)」という。

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改訂新版 世界大百科事典 「三谷」の意味・わかりやすい解説

三谷 (さんや)

尺八楽古典本曲の曲名。ただし特定の一曲の名ではなく,伝承系統により多くの同名異曲がある。曲名も芸系により多少異なり,琴古流《三谷菅垣(すががき)》,錦風流《三谷清攬(せいらん)》,明暗真法(みようあんじんぽう)流《三谷ノ曲》,明暗対山流《三谷曲》などがあり,当該芸系で単に《三谷》と呼ぶもの(仙台布袋軒(ふたいけん),越後明暗寺,西園流など)については,《布袋軒三谷》《越後三谷》などと寺名などを冠して呼び分けられる。ほかに明治時代に神保(じんぼう)政之助が編曲した《神保三谷》《三谷巣籠(すごもり)》もよく知られ,前者は九州系では《奥州薩慈(おうしゆうさし)》と呼ばれる。文字遣いも三谷のほかに山谷,山野,産安,佐山などの字も当てられ,産安の場合には安産祈願の意味も付会されている。曲名の語源については,梵語のsamaja(集会)の意とか,三昧の転化とか,曲中の3ヵ所の高音(たかね)(高音域旋律部分)が三つの谷にこだまする意など諸説ある。普化(ふけ)宗では儀式用奏曲だったといわれるが,同名異曲が多く,異なる当て字が多いことは,この曲が広く愛好され,多岐の伝承を生じたことを物語っている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三谷」の意味・わかりやすい解説

三谷
みや

愛知県南部,蒲郡市のほぼ中央部にある地区,旧町名。江戸時代は「三谷千軒」といわれた漁業の町として栄え,また海運業でも名高かった。明治以後は発動機船出現織物業へ転業し,三河木綿産地となる。 1954年温泉開発以来,東部丘陵地に温泉旅館街が出現し,西浦温泉とともに三河湾国定公園拠点となった。

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