改訂新版 世界大百科事典 「李〓」の意味・わかりやすい解説
李 (りよく)
(R)I Ik
生没年:1681-1763
朝鮮実学派の巨匠。字は子新,号は星湖。京畿道驪州(れいしゆう)の人。南人派に属する彼は,大司憲李夏鎮の子として父の流配地で生まれ,その兄李潜も,党争の犠牲となった。仕官の道を断念し,京畿道広州の瞻星(せんせい)里にこもって,柳馨遠(りゆうけいえん)の実学思想を継承発展させるべく心血を注いだ。代表作《星湖説(さいせつ)》は3057項目を天地門,万物門,人事門,経史門,詩文門に分類して論述しており,そのような百科全書的学風は高弟安鼎福,尹東奎(いんとうけい),李家煥,李重煥らによって継承され,丁若鏞(ていじやくよう)によって集大成された。この学統は実学における経世致用学派(星湖学派)とよばれる。とりわけ彼は朝鮮における本格的な西学(洋学)研究の基礎を据えた先駆者であり,マテオ・リッチの《天主実義》,E.ディアスの《天問略》,G.アレーニの《職方外紀》に跋文を寄せている。
執筆者:姜 在 彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報