改訂新版 世界大百科事典 「安鼎福」の意味・わかりやすい解説
安鼎福 (あんていふく)
An Chǒng - bok
生没年:1712-91
朝鮮実学派の学者,歴史学者。字は百順,号は順菴または椽軒。広州の人。科挙試のための学問を拒み,星湖李瀷(りよく)の学徳を慕ってその門下に入り,経史に明るい。李瀷の死後,少壮星湖学派に天主教(キリスト教)に傾倒する者が続出したが,反対派の攻撃の口実になることを憂えて,1785年に《天学考》《天学問答》(天学は天主教)を著して戒めた。その効なく彼の死後の1801年には辛酉(しんゆう)教獄が起きる。国王に招かれて若干の官職を歴任したが,晩年は著述や読書に専念し,師李瀷の文集《星湖説類選》を編撰したほか,編年体の歴史書《東史綱目》20巻や,《下学指南》その他の著作がある。文集に《順菴集》がある。
執筆者:姜 在 彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報