日本大百科全書(ニッポニカ) 「林業索道」の意味・わかりやすい解説
林業索道
りんぎょうさくどう
原木を林道沿線まで搬出するために設けられるワイヤロープを用いた運搬施設の一種で、運材索道ともいう。日本の山林は地形が険しいので、本州では、野猿(やえん)とよばれる飛ばし込み式、薪炭(しんたん)材搬出用の軽架線(搬送負荷の小さいものではワイヤを使うことがある)、一般用材搬出用の索道など数多くの林業索道が使われてきた。いわゆる釣瓶(つるべ)式とよばれ広く普及した単径間複線交走式索道は、ワイヤロープ2本を主索として、数メートル間隔で平行に架設し、これに滑車のついた搬器を取り付け、曳索(えいさく)を上方支点にある制動装置を通して荷搬器および空搬器と連結させているので、荷搬器の重力による加速走行をブレーキをかけて調節しながら、交走式で搬出作業を行うことができる。多径間連送式索道には延長数キロメートルにも及ぶものがあり、峰を越え、搬出材の自重を利用して無動力で、スキーリフトのように連続式に多量の原木を搬出し、幹線林道の役目も果たすことができる。林道の開設が進んだ現在では、長距離の多径間連送式は少なくなった。延長数百メートル程度の単径間の索道および軽架線は現在でも民有林で広く利用されている。
[山脇三平]