林道は林業の経営あるいは森林の管理に必要な道路であり,主として木材運搬に使われるが,農山村に開設されることが多いので,農山村地域の生活道路としても使われる。林道は輸送機能を重視したものと,集材機能を重視したものがあるが,一般的には幹線は輸送機能,支線・分線は集材機能が強い。集材距離を短縮し,集材費の節減をはかるのが林道開設の主要な目的であるから,地形や森林の経営条件を十分に考慮したうえで林道網計画がたてられる。林道の整備状況を示す目安に林道密度(m/ha)が使われる。山腹平均傾斜22~35度の急地形では10~20m/ha,12~22度の緩地形では20~30m/haが標準的な目安となっている。30m/haの路網密度になると,集材距離は150~200m程度となるので,比較的小型の集材機械で搬出が可能となる。ドイツ,オーストリアなど,以前から人工林の集約経営を行っているところでは,路網密度も30m/haに達するところが少なくない。林道は林道規程により構造基準が示されているが,とくに縦断こう配が設計の重要な因子となる。林道の枝線として開設される作業道は,切出し作業が行われる時期だけに使われる低規格の道であるが,集材距離を短縮して集材費節減の効果が大きい。林道には国有林林道と民有林林道があるが,民有林林道はさらに開設の目的あるいは規模によって一般補助林道,公団林道,特定の目的のための補助林道および非国庫補助林道に分けられる。日本の森林内道路密度は,国有林,民有林あわせて約10m/haであるが,その内訳は公道約6m/ha,林道約4m/haとなっており,林業生産基盤としての路網整備がおくれている。林道の中でとくに規模の大きい特定森林地域開発林道(スーパー林道)および大規模林業圏開発林道は,広域の森林経営・管理のための幹線であるが,道路開設による自然環境に対する影響評価や施工法については十分な調査が必要であり,開設された林道の管理についても適切な措置がとられなければならない。
執筆者:上飯坂 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
林産物の運搬や植林、伐採、治山治水の各事業、レクリエーション利用、森林管理などのために、森林内外に通ずる交通路として築造される施設をいう。幅員4メートル前後、砂利敷きの単線自動車道が普通であるが、交通量の多い幹線には、維持管理のしやすいアスファルト舗装の単線あるいは複線の自動車道が建設されている。奥地の自然保護を必要とする森林地帯を通過せざるをえない林道にあっては、とくに自然と調和した路線の選定、路体の作設が不可欠となっている。日本全国で年間新設される自動車道としての林道は減少傾向にあり2000年度(平成12)には1187キロメートルであったものが、2010年度では484キロメートルに減少した(国有林林道・民有林林道の合計)。このほか、森林内で林道とともに林内路網ネットワークを構成する、フォワーダーなどの林業機械の走行を想定する森林作業道がある。この林道・作業道からなる林内路網密度(単位はメートル/ヘクタール)は林業の重要な生産基盤の指標で、日本は約17メートル/ヘクタール(2009)で、オーストリア89メートル/ヘクタール(1992~1996年の数値)、ドイツ118メートル/ヘクタール(旧西ドイツ圏1986~1989年の数値)の林業先進国に比べ著しく低く、林道と作業道との一体となった路網整備が望まれている。なお、既設林道で山村住民の生活と密着したものは、府県道や町村道に各地で無数移管され、民生に役だてられている。
[山脇三平]
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