民有林(読み)みんゆうりん

精選版 日本国語大辞典 「民有林」の意味・読み・例文・類語

みんゆう‐りんミンイウ‥【民有林】

  1. 〘 名詞 〙 森林法で、国有林以外の森林私有林公有林とがある。
    1. [初出の実例]「御慶事記念として、民有林に樹木を植ゑ、之を材木となし銀婚式の時の祝賀費用に充つる事とせり」(出典:風俗画報‐二一一号(1900)各地方奉祝の景況)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「民有林」の意味・わかりやすい解説

民有林
みんゆうりん

地方自治体の所有林と私有林を含めた森林で、国有林以外の森林の総称。歴史的には、1939年(昭和14)の森林法の改正で設けられた施業奨励規則のなかで使用された行政用語である。この森林法の改正では、施業奨励規則を設けて戦時木材調達のための「強制伐採」を制度化した。この制度では、宮内省帝室林野局所轄の御料林と国有林を対象外とし、公有林と私有林を対象に戦時強制伐採を行うものとした。そこでは、公有林と私有林を一括するために民有林という用語を設定し、戦時強制伐採を行うための民有林施業案(植伐計画)の編成を行った。民有林という用語が森林法の条文に明記され、林業行政全般に使用されるのは、1951年(昭和26)に行われた森林法の改正によってである。改正森林法は、第2条で民有林を国有林以外の森林と定義している。公有林と私有林を一体にした民有林という法律的な取扱いは、日本特有のものである。国際的には私有林を別建てとし、公有林と国有林を一体的に表示するケースが多く、英語やフランス語には民有林という用語はない。2007年(平成19)時点の日本の民有林面積は、公有林283万ヘクタール、私有林1454万ヘクタールのあわせて1741万ヘクタール、全森林面積の69%を占める。

[山岸清隆]

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改訂新版 世界大百科事典 「民有林」の意味・わかりやすい解説

民有林 (みんゆうりん)

国有林以外の森林をいう。日本の森林面積約2500万haのうち約1730万haを占めている。このうち私有林が1460万ha,残りが公有林である(1995年3月末現在)。民有林の呼称は1951年の森林法によって生まれたもので,政策上の用語である。国内の森林を大きく国有林と民有林との二つに大別し,森林計画の中に入れ,行・財政計画に従った管理,経営をするのが目的であった。
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百科事典マイペディア 「民有林」の意味・わかりやすい解説

民有林【みんゆうりん】

国有林以外の森林。公有林と私有林がある。私有林は個人有林・共有林会社有林などに分かれる。2007年現在,民有林は1741万haを占め,その内訳は公有林283万ha,私有林1458万ha。
→関連項目官行造林国有林森林

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農林水産関係用語集 「民有林」の解説

民有林

国有林以外をいい、個人、会社、社寺等が所有する私有林、都道府県市町村財産区等が所有する公有林に区分される。

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林業関連用語 「民有林」の解説

民有林

国有以外の林野をいい、緑資源公団、公有、私有に分類される。

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世界大百科事典(旧版)内の民有林の言及

【私有林】より

…私有の森林のことで,国有林公有林以外のものの総称。私有林と公有林を合わせて民有林という。日本の森林面積の約2/3を占めている。…

【林業経営】より

…日本の森林は経営形態別に国有林公有林私有林に分けられる(公有林と私有林を合わせて民有林という)。国有林は森林総面積の3割に達する。…

※「民有林」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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