出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…核の微細構造および機能は細胞分裂の周期にしたがって変化する。分裂間期の代謝核には75~250μmの繊維構造をとる染色糸が現れるが,染色糸の基本構造はヒストン8分子が結合したコア粒子にDNA鎖が巻きつきながらビーズ状に連なったヌクレオソーム構造で,この構造をコイル状に短縮した繊維構造が染色質となって核質中に分散している。あらかじめDNA鎖の複製が完了した分裂核の染色糸は分裂期に入ると急速に短縮・凝縮して染色体となり光学顕微鏡で観察できる構造に変わる。…
…核は,原核細胞に比べて100~1000倍も大きなゲノムDNAが結合する多数の染色体を保護し,遺伝情報の発現につごうのよい環境を形づくっている。核質のうち,染色体DNAを結合する染色質chromatinは,とくに遺伝情報発現とその調節を行っている重要な部分で,原核細胞の核様体とは違って,遺伝子DNAがヒストンというタンパク質8分子でつくる〈ヌクレオソームコアnucleosome core〉に巻きとられたビーズ状の構造を基本構造にして,スーパーコイルなどの高次な折りたたみ構造をとる染色糸がそこに位置している。また,核質には,RNAに富み,容易にそれとわかるボール状の核小体が通常1ないし数個分布しており,細胞質のリボソームに含まれる3種類のRNA分子(18S,5.8Sおよび28S rRNA)はつながった前駆体RNAとしてここで転写されている。…
※「染色糸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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