デオキシリボ核酸(読み)デオキシリボかくさん(英語表記)deoxyribonucleic acid

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デオキシリボ核酸」の意味・わかりやすい解説

デオキシリボ核酸
デオキシリボかくさん
deoxyribonucleic acid

DNAと略す。遺伝子の本体であり,真核細胞では核膜に包まれた核の中に,塩基性蛋白質であるヒストンと会合した状態で存在する。原核細胞でも,細胞内でほぼまとまって存在するが,核膜に包まれない。 DNAの分子量は巨大で,大腸菌などでは細胞1個の含む全 DNAが1本につながっていると解されているが,無傷のまま取出すことは至難である。染色体をもつ生物では,染色体各1本を形成する DNAは,やはりひとつながりか,少くとも数個の鎖のつながりと考えられるので,分子量は億の桁になりうる。二重螺旋状をした長い紐状分子で,紐の単位は4種類のヌクレオチド,すなわちアデニル酸 (A) ,グアニル酸 (G) ,シチジル酸 (C) ,チミジル酸 (T) であり,これらがA-T,G-Cという組合せで向き合いつつ,二重螺旋となる。これらヌクレオチドの並び順が,蛋白質のアミノ酸配列を定める遺伝暗号となる。核以外のミトコンドリアや葉緑体にも微量固有 DNAが検出され,これはこれら構造体が,最初小型原核細胞として外から侵入してきたことの名残りかもしれないと解されている。ウイルス遺伝物質としての DNAをもつが,一部のウイルスは,別種核酸である RNAのみをもつ。遺伝の情報は一般には DNA→RNA→蛋白質という方向にのみ流れ,この考えをセントラル・ドグマといっているが,RNAウイルスでは最初に1度,RNA→DNAの流れがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デオキシリボ核酸」の意味・わかりやすい解説

デオキシリボ核酸
でおきしりぼかくさん
deoxyribonucleic acid

核酸の一種で、英名の頭文字からDNAと略記される。人間をはじめ、ほとんどの生物の遺伝情報を担う物質。

[編集部]

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