桑実寺縁起(読み)くわのみでらえんぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「桑実寺縁起」の意味・わかりやすい解説

桑実寺縁起
くわのみでらえんぎ

滋賀県桑実寺建立の由来と本尊薬師如来(やくしにょらい)の霊験(れいげん)を描いた絵巻。2巻。天地開闢(かいびゃく)のとき一株の桑樹があり、その実が落ちて山となり、いまの桑実山ができる。のち天智(てんじ)天皇の第4皇女が病にかかるが、琵琶(びわ)湖の水中より生身の薬師如来が現れ、皇女の病気がたちまち平癒した。そこでこの薬師如来を本尊として桑実山に御殿を建立し、桑実寺がおこったとの草創譚(そうそうたん)が説かれる。絵は室町時代(16世紀)の画家土佐光茂(みつもち)の筆。全巻を通して金地に極彩色を用いて濃麗な画面を展開している。なお、詞(ことば)は後奈良(ごなら)天皇、青蓮院宮(しょうれんいんのみや)尊鎮(そんちん)法親王、三条西実隆(さねたか)の寄合書(よりあいがき)で、将軍足利義晴(あしかがよしはる)が寺に寄進したものである。重要文化財。桑実寺蔵。

[村重 寧]

『小松茂美編『続日本絵巻大成13 桑実寺縁起他』(1982・中央公論社)』

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