桑東郷(読み)くわのとうごう

日本歴史地名大系 「桑東郷」の解説

桑東郷
くわのとうごう

天降あもり川中流の現隼人町日当山ひなたやま地区から、持松もちまつを除く牧園まきぞの町にかけての地域に比定される。永仁二年(一二九四)六月一日のゆしん・建部定親連署譲状(禰寝文書)に「くわのとうかう」とあることから、郷名はクワノトウゴウと読まれていたようである。桑原くわはら郡から桑西くわのさい郷などとともに分出したと思われるが、「和名抄」にみえる桑原郡桑善くわよし郷との関係は不明。桑東郷の桑を略して東郷とよばれることがあった(応永一一年五月二一日「大隅国目代在庁官人連署注文写」調所氏家譜など)。同様に桑東郷の郡司は東郷郡司とよばれている(嘉元三年一二月三日「大隅国守護金沢時直書下」禰寝文書など)

治暦五年(一〇六九)一月二九日の藤原頼光所領配分帳案(禰寝文書)に藤原頼経に給する地として桑東郷がみえる。久安四年(一一四八)五月九日には桑東郷内永谷ながたに(大字松永のうち永谷か)の田畠一所が建部清貞から檜前太子へ譲り渡された(「前大隅掾建部清貞譲状」同文書)。応保二年(一一六二)四月二日の僧真寂田畠譲状(台明寺文書)では桑東郷の一条二里字竹原田の田六段と葦上村字古川薗の畠地一所が真寂子息不動丸へ譲られている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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