桜井石風呂(読み)さくらいいしふろ

日本歴史地名大系 「桜井石風呂」の解説

桜井石風呂
さくらいいしふろ

[現在地名]今治市桜井 沖浦

志島ししまはらから海岸沿いに南へ約三キロ行った沖浦おきうらの浦手にある。岩山をくりぬき洞窟とし、その中で枯柴をたいて内部の温度を高め、火勢がおさまった頃濡れ筵を敷き、残り火が消えると、浴客は熱気のこもった中へ入る。一種蒸風呂万病に効くといわれている。明治一三年(一八八〇)の「伊予国越智郡地誌」にも「坑口竪八尺、横二間、奥行拾間、面積弐拾坪、毎年四月一日ニ開業シ、七月十日ニ至リ閉坑ス、其間入浴スル者男女合テ凡弐千五百人、其功能タル疝癪或ハ腰痛ヲ治スルニ善シ」とみえる。現在では七月一〇日頃から九月中旬まで開いている。

桜井石風呂の創始年代は明らかでないが、石風呂の前にある文化七年(一八一〇)建立の碑文には、仏心寺・長福寺などの住持を務めた南明が延宝年間(一六七三―八一)に入浴し、宿痾をいやしたとあるので、この石風呂の歴史は古い。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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