朝日日本歴史人物事典 「榊俶」の解説
榊俶
生年:安政4.8.28(1857.10.15)
明治期の精神病学者。江戸下谷生まれ。明治13(1880)年東大医学部卒業。卒業後,眼科の助手として同大学に勤務していたが,15年のドイツ留学の際に精神病学を専攻,ベルリン大のウェストファルに師事した。またウィルヒョウのもとで神経系統の病理解剖を学ぶ。さらに法医学も研究して,19年に帰国。同年,帝大医科大精神病学教室の教授となる。翌年に東京癲狂院(のちの巣鴨病院,現在の松沢病院の前身)で治療を開始,22年には巣鴨病院医長を兼務した。24年,医学博士の学位を受ける。翌25年,東京地方裁判所医務を嘱託され,法医学的,精神病学的視点から司法鑑定を行った。神経系統の病理をふまえた近代の精神病学の祖であり,精神病患者の権利向上に寄与した人物でもある。
(高安伸子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報