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精神医学 せいしんいがくpsychiatry

翻訳|psychiatry

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

精神医学
せいしんいがく
psychiatry

この用語は 19世紀初頭から使われており,本来の意味は「精神的方法による治療促進に寄与すること」である。しかし,19世紀末から 20世紀初頭にかけて精神障害の疾病論が確立されるにつれて,精神障害を対象とする医学の一分野と考えられるようになった。他方,ほぼ同時代精神分析も始められ,精神分析を中心とする治療の理念技法も大きく進歩した。これら2つの流れは,精神医学という概念をめぐって今日なお対立あるいは交錯している。

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デジタル大辞泉の解説

せいしん‐いがく【精神医学】

精神病・人格障害・精神神経症などの精神疾患を、研究・治療・予防する医学の一部門。精神病理学・臨床精神医学などがある。

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百科事典マイペディアの解説

精神医学【せいしんいがく】

医学の一部門。精神の異常を対象とし,その原因,経過,症状,治療法などを研究する。最近では内科学,小児科学,脳外科学,精神科学,心理学犯罪学,教育学などの近接領域との協力により,その活動分野は広い。
→関連項目行動科学心理学

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世界大百科事典 第2版の解説

せいしんいがく【精神医学】

精神医学とは,読んで字のごとく,精神の医学,つまり精神の異常ないし病的状態(精神病)に対する認識と治療をめざす医学の一分野である。このことは,精神医学にあたるドイツ語のPsychiatrie,英語のpsychiatryなどが,ギリシア語のpsychē(精神)+iatreuō(癒(い)やす)に由来するという事情に照らしても明らかなようにみえる。しかし,元来はそうでなく,ドイツの医学者ライルJ.C.Reilがその著書《精神的治療法の促進に対する寄与》(1808)ではじめてPsychiatrieという語を使った当時は,〈精神を癒やす〉のではなく〈精神で癒やす〉という意味だったことが確かで,つまり,精神の病気だけでなくすべての身体疾患にも適用しなければならない精神治療術ともいうべきものがPsychiatrieだったのである。

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大辞林 第三版の解説

せいしんいがく【精神医学】

精神障害の予防・診断・治療を対象とする医学の一分野。自然科学的方法のほか、現象学・心理学・社会学などの方法を用いる。以前は精神病学といった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

精神医学
せいしんいがく
psychiatry

おもに精神障害の成因、病態、治療などについての研究と実践を目的とする臨床医学の一分野。脳機能と密接な関連をもつ正常または異常な精神現象を扱うためには、当然に自然科学的方法論と精神科学的方法論とを駆使する必要があり、この点では特異な医学領域となっている。自然科学的方法としては、脳の病理解剖学的、生化学的、生理学的探究に加えて内分泌学的研究も行われ、目覚ましい発展を続けつつある分子生物学やME(医用工学)の研究の成果の導入も試みられている。一方、精神科学的方法としては、精神障害者も人間関係のなかに組み込まれた全一体としての人間そのものであるという立場から、精神病理学、精神分析学、臨床心理学、社会学、文化人類学などによる多様な精神科学的アプローチがなされており、さらには実存哲学を背景として実相に迫ろうとするものもある。自然科学的方法は脳の器質的変化を伴う精神病などの解明に大いに役だち、精神科学的方法は発症や症状形成に対する社会的ならびに文化的要因の影響、人間関係の病態の解明に役だち、とくに神経症の成因とその治療については多くの貢献をしている。しかし、自然科学的、精神科学的のいずれの方法によっても、内因性精神病とよばれる統合失調症とそううつ病の二大精神病の成因については、その扉を開くことはできず、大きい課題を残したままであるのが現状である。
 日本の精神医学は医学全般と同様にドイツを範とし、E・クレペリンにより体系づけられたPsychiatrie(ドイツ語)を導入して精神病を主対象とするものとし精神病学と訳したが、1936年(昭和11)精神医学と改訳した。対象は精神病、つまり精神障害にのみとどまらず、健全な精神の保持などにも寄与すべきものという主張が込められたものと思われる。第二次世界大戦後の精神分析学の成果を吸収したアメリカ精神医学の影響を受けて学際的な人間科学的な色調を濃くしているのは、その延長線上にあるものであろう。しかし、ふたたび生物学的精神医学の台頭が世界的にみられるのは留意すべき傾向であるといえよう。[懸田克躬]

精神科

精神医学を基盤の臨床医学とした診療科の一つである。日本の精神医学は前述のように、精神障害に対する研究と診療に並んで神経疾患の研究と診療をも一つの講座が担当するドイツ医学のもとに歩んできたので、その診療科としての精神科も精神障害とともに主として中枢神経疾患をも取り扱ってきた。しかし、第二次世界大戦以降は、精神医学と神経病学とを画然と区別するアメリカやイギリスの医学界の主潮の圧倒的な影響のもとに、日本の精神医学、したがって精神科も精神障害をおもな対象とするようになった。しかしながら精神と脳との関係からみて、精神科の対象から中枢神経疾患をまったく除外することはできない。精神科が精神神経科または神経科とよばれるのは、このような現実と歴史的な過程とによるとともに、精神病に対する偏見から精神科の受診をためらいがちな世人に対する配慮によるものと思われる。この偏見も、治療学の進歩によって精神病すなわち不治という考えが打破されるとともに薄らぎつつある。
 精神科治療の主流をなすものは薬物療法、精神療法、あるいは両者の併用のほか、必要時には電撃療法などで、かつて行われたような脳に外科的侵襲(手術によって生体が受ける種々のストレス。痛み、不安、炎症、出血などである。英語ではsurgical stress)を加えて症状の改善を期待する精神外科は、きわめて限定されたものとなっている。[懸田克躬]

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