改訂新版 世界大百科事典 「槍さび」の意味・わかりやすい解説 槍さび (やりさび) 端歌・うた沢の曲名。本調子。〈槍はさびても名はさびぬ……〉と歌いだされることから曲名とされた。元歌は《浮れ草》(1822刊)にある《与作踊おんど》で,幕末になってから,歌沢笹丸が歌詞を改め,うた沢や端歌として広く歌われるようになった。武士の体面は腰の刀に残している,という浪人の心意気がうかがえ,当時の世相をうつしている。テンポのおそい曲で,替歌もあり,歌舞伎音楽では殺しの場に使われる。執筆者:舘野 善二 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by