改訂新版 世界大百科事典 「標準尺」の意味・わかりやすい解説
標準尺 (ひょうじゅんじゃく)
standard scale
金属製直尺より精度がよいもので,精密測定器などに組み込まれるものや精密測定器を校正する長さの線基準として用いられる。標準尺の材質は経年変化が少なく,耐食性があり,均質で高品位の金属またはガラスである。その熱膨張係数は(11.5±1.5)×10⁻6/℃の範囲内を原則とし,特殊な材質を用いたものは,その熱膨張係数を明記することになっている。断面形状はH型のほか,長方形,丸平型などがある。目盛は1mmで,目盛線の太さは高精度のものは3~8μmである。精度は標準器や精密測定器に用いられる01級のものは1mで2μmである。工作機械などに用いられる1級,2級のものは10μm,20μm。標準尺は倍率30~60倍の測微顕微鏡,あるいは光電式測微顕微鏡で1mm目盛以下を0.1μm単位で読みとられる。標準尺の検査は実用標準光波長を直接の基準として測定する絶対測定方法と,比較測定器を用いて,必要な精度で校正された標準尺と比較する比較測定方法で行われる。検査は支持の方法や測定温度に十分注意し,必要に応じて測定誤差を補正しなければならない。JISに精度,形状などが規定されている。
執筆者:横山 豊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報