改訂新版 世界大百科事典 「測微顕微鏡」の意味・わかりやすい解説
測微顕微鏡 (そくびけんびきょう)
micrometer
microscope
物体を拡大して観測に用いる顕微鏡において,対物レンズによる物体の拡大実像が結ばれる焦点面上に目盛を刻んだガラス平板を置き,目標とする像に合わせて移動させ,その移動量を読み取ることができるものを測微顕微鏡という。主として標準尺の目盛線の読取りに用い,標準尺と組み合わせて測長器として用いることが多い。対物レンズで拡大された像の大きさを読み取る方法に標線移動式,像移動式および直読式がある。標線移動式は焦点面に可動の二重線または十字線の標線が入っており,その標線をマイクロメーターによって移動させ,標準尺の目盛線の位置を読み取るもので,目量1μmの測微目盛ドラムの1回転に対して移動標線が補助目盛の一目盛分,すなわち0.1mmを移動する(図1)。二重線を移動させる代わりに標尺目盛を移動させるものもある。移動量の読取りを接眼レンズの視野の内部と外部の両方で行うもののほか,すべて視野内で読み取ることのできるものもある。像移動式は焦点面前においた平行平面ガラスを回転させるかプリズムを変位させて,対物レンズで拡大された像を移動させ読み取るものである。この方式においても移動量を接眼レンズ視野内のみで読み取るものもある。図2はその視野の一例であり,円周目盛の目量は1μmである。直読式はつまみを動かすことなく,視野内で1μmまで読み取ることができる。
執筆者:沢辺 雅二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報