改訂新版 世界大百科事典 「測定誤差」の意味・わかりやすい解説
測定誤差 (そくていごさ)
error of measurement
測定の目的は測定量の真の値を求めることであるが,得られる測定値にはいくらかの誤差が含まれることは避けられない。このように測定に際して測定値に入りこむ誤差を測定誤差と呼び,測定値から真の値を引いた値と定義する。測定誤差の原因は次の4通りに大別される。(1)測定の理論,原理の不完全さ 例えば気体の温度を状態方程式を用いて求めるときの状態方程式自身の不確かさ,(2)測定器の不完全さ 例えばセンサーのヒステリシスや機器の目盛間隔のふぞろいなど,(3)測定条件の変動 例えば周囲温度,湿度,気圧,電源電圧の変化の影響など,(4)測定者の能力の違い 例えば目盛の読取りや測定器の取扱い方の個人差など。これらの原因によって生ずる測定誤差は,数理的な性質によって,真の値に対するかたよりをもたらす系統誤差とばらつきを与える偶然誤差とに分類される。
→誤差
執筆者:飯塚 幸三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報