権力欲(読み)けんりょくよく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「権力欲」の意味・わかりやすい解説

権力欲
けんりょくよく

権力を欲望の一つとする見方。これは中世の神学者に始るといわれる。神学者は,支配の願望を性欲や知識欲と並ぶ人間の根本的な要求の一つとし,肉欲や権力欲を非難した。近代に入っても W.ジェームズの獲得欲や W.マクドゥーガルの闘争本能,S.フロイトの権力衝動などの諸説において権力欲は,人間の主観的欲望の一つとして位置づけられている。特にフロイトおよびその学派は劣等感に対する補償としての権力衝動を強調し,すべての政治抗争を心理的な欲求不満で説明しようとした。しかし,近年においては,権力そのものが「人間相互間に生ずる状況」 (H. D.ラスウェル ) としてとらえられ,本能説,欲望説は衰退しつつあるといえよう。

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