櫓(やぐら)(読み)やぐら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「櫓(やぐら)」の意味・わかりやすい解説

櫓(やぐら)
やぐら

一般に材木を高く組み上げた構築物をいう。古代では矢を納める倉の意から武器庫をさしたが、平安時代には屋敷の門の上に防備のため床を張り垣楯(かいだて)で囲み、弓箭(きゅうせん)の場と敵襲に対する望楼を兼ねたものを櫓とよんだ。近世城郭では防備のための建物を櫓と総称し、隅(すみ)櫓、渡(わたり)櫓、多聞(たもん)櫓など目的により名前を変えている。これは平安時代以来、城壁などの上に防戦と望楼を兼ねてつくった構築物を櫓とよんだのに由来する。のちに屋根の上に高く組み立てられた構築物を櫓とよぶようになり、民家の土間上の煙出しの櫓や、芝居相撲(すもう)小屋正面の太鼓櫓、また火災の望楼としての火の見櫓などはこの例である。

[工藤圭章]

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