精選版 日本国語大辞典 「芝居」の意味・読み・例文・類語
しば‐い ‥ゐ【芝居】
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元来は社寺の境内などの神聖な芝生の意味であったが、南北朝ごろから一般に芝生をさしていうようになり、芝のある場所にたむろすることを「芝居する」というように動詞化しても使われた。室町時代になり、猿楽(さるがく)・田楽(でんがく)・曲舞(くせまい)などの勧進興行が露天に舞台を構えて行われ、柵(さく)で囲った芝生がその見物席にあてられたことから、芝居はとくに芸能の見物席の意味をもつようになった。見物席に桟敷(さじき)が設けられるときは、桟敷は高価で貴族向けであったため、芝居は一般大衆席にあてられた。近世初頭に歌舞伎(かぶき)が成立すると、これは元来庶民的な芸能であったことから、芝居ということばが拡大され、ついに見物席を含めた劇場全体をさすようになり、さらにはそこで演じられる歌舞伎そのものをもさすように転じた。同時に「操(あやつり)人形芝居」などの語も生まれる。したがって、「芝居」ということばは、劇場・演劇・演技など多義をそのなかに含みもつ、あいまいなことばである。そして、そのことが日本演劇のユニークな性格を象徴することにもなっている。
[服部幸雄]
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…また,英語play(プレー)あるいはフランス語jeu(ジュー)は,舞台上で行われることの〈遊戯性〉とそれに基づく〈虚構性〉を強調するし,英語でperformance(パフォーマンス)といえば,そのような〈演戯〉に要求される特殊な身体的技能とその成果を問題にする。 日本語でも,テアトロン,つまり見物席とともに舞台芸術を指すことばは〈芝居〉である。平安末期から中世にかけて流行した延年舞曲で,見物=観客が寺社の境内の芝生に居て見物したことに基づくが,現代語でも〈芝居〉は舞台上演も戯曲の内容も俳優の演技も指すことができるうえに,比喩的に演戯的虚構をも表しうる。…
…舞踊の名手で人気の伯仲していた3世中村歌右衛門と3世坂東三津五郎との対抗が,変化舞踊の流行に拍車をかけた。
[黙阿弥と幕末]
1841年(天保12)10月,堺町中村座と葺屋町市村座が焼失したのを契機として,芝居の取りつぶしが計画された。これは天保改革の一環であった。…
…しかも文化的消費の拡充と遊芸の流行という二つの現象は,たとえば各種の遊芸がおびただしい美術工芸品を必要とし,また美術工芸品の大量生産が大衆的遊芸の流行を可能としたといったぐあいに,相互に深くからみあっていた。
[文化の流通]
さらに芝居(劇場),本屋(出版),塾(学校)などの諸施設が広範に成立し,これが,町人層に新たに生じた文化的ニーズと職業的文化人との間を結ぶ媒体として,重要な役割を演じることになった。これら各種メディアの出現は,作品の〈作り手〉と〈受け手〉の間に,その組織的な〈送り手〉いわば流通機構が形成されたことを意味し,文化の創造と享受とが個人的な関係で完結する状態から脱して,大衆的な参加・普及へ向かう契機をもたらした。…
※「芝居」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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