火の見櫓(読み)ひのみやぐら

日本大百科全書(ニッポニカ)「火の見櫓」の解説

火の見櫓
ひのみやぐら

火事を警戒するために常時登ったり、火災のとき、出火場所の方向、距離などを見定めるために登る櫓。櫓上には半鐘が設置されており、これを打ち鳴らして火事を知らせる。たとえば、火元が遠い場合は一打ずつ間を置いて打ち、近火の場合にはきわめて急繁に打つ。この火の見櫓が最初に設置されたのは明暦(めいれき)の大火の翌年(1658)のことで、幕府直属の定火消(じょうびけし)が設けられた際、火消屋敷に高さ3丈(約9メートル)のものが建てられ、昼夜、火の番が見張り、出火を認めると太鼓で合図した。江戸では、およそ十か町に一か所建てられ、それ以外の町では、自身番小屋の屋上に、梯子(はしご)と半鐘を取り付けただけの所もあった。明治以降もこの火の見櫓の名称は残っていたが、自警団の櫓を除き、都市の消防署では建物の近代化に伴い、望楼とよぶようになった。現在では、周辺の建物が高層化し、実際にはあまり使われていない。

[片岸博子]


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デジタル大辞泉「火の見櫓」の解説

ひのみ‐やぐら【火の見×櫓】

火事を発見したり、その位置を見定めたりするために高く設けた 冬》

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「火の見櫓」の解説

火の見櫓
ひのみやぐら

火災発生を見張るために木材鉄柱などを組合せてつくった高い塔,または台。簡単なものは火の見ばしごという。櫓には半鐘をつるし,そのつき方の緩急,点鐘数の差異によって火災遠近を伝えたが,現在では地方でなければみられない。

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世界大百科事典 第2版「火の見櫓」の解説

ひのみやぐら【火の見櫓】

江戸の火の見櫓は,1658年(万治1)定火消の制が発足し,火消屋敷に建てられたのに始まる。高さ3丈(約9m),外部の蔀(しとみ)は白木生渋(きしぶ)塗であったが,それは定火消屋敷に限られ,続いて設けられた大名火消屋敷や町の木戸の火の見櫓はすべて黒塗で,櫓の高さも定火消のそれより低くなければならなかった。また櫓の上層部が四方にあいているのは定火消の櫓のみで,大名火消の櫓も江戸城に面した側はふさがれていた。

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世界大百科事典内の火の見櫓の言及

【火の番】より

…明暦の大火(1657)以後,機敏性を欠く大名火消のほかに幕府直属の江戸中定火之番つまり定火消が組織され,城下数ヵ所に火消屋敷が設置された。そこには火の見櫓を設けて昼夜火の番が見張りに立ち,出火を発見すると太鼓で合図を出した。町方でも自衛の火消組織ができ,警備のために各町内に自身番,町境には木戸番が設置された。…

※「火の見櫓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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