改訂新版 世界大百科事典 「欣岩里遺跡」の意味・わかりやすい解説
欣岩里遺跡 (きんがんりいせき)
Hǔnamni-yujǒk
大韓民国,京畿道驪州郡占東面欣岩里にあり,中部地方における無文土器(青銅器)時代の代表的集落遺跡。漢江支流の南漢江を東方眼下に望む,標高91~115m付近の丘陵傾斜面に立地する。1972-77年に調査され,竪穴式住居跡14基が検出された。住居跡はいくつかが重複しており,およそ2時期にわたる小規模な集落であったと思われる。個々の住居跡は,いずれも平面形が長方形で,炉跡や柱穴が遺存したものもある。住居跡の内部から壺,甕,高坏,鉢などの無文土器と,小型壺の丹塗磨研土器が出土した。無文土器のうち,口縁下に有孔列点文をめぐらしたり,口唇上端に刻み目を施すもの,さらに,口縁部の肥厚帯に斜行する刻線をめぐらすものなどに特色がみられる。磨製石器には,石斧,石鏃,石剣,石庖丁,鞍形すり臼,紡錘車,土製品では漁網錘がある。なお,比較的多くのコメや少量のオオムギ,アワ,モロコシなど栽培植物遺体の検出も注目される。
執筆者:西谷 正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報