飲食物を盛る、ふっくり丸みのある容器であるつき(坏)に高い脚をつけた1人用の食膳(しょくぜん)。高杯とも書く。その材質は土、木、竹、ガラス、金属などからなり、縄文中期に浅鉢に透かしのある太く短い台付けの土器の高坏が現れ、弥生(やよい)時代には木製高杯が現れた。奈良時代の正倉院には白瑠璃(しろるり)(ガラス)高坏が残るが、主体は土器である。平安時代から室町時代までは貴族・社寺で用いられる木製漆塗り高杯が主流で、つきは平面で、原則として形は角(かく)と円(まる)の2種からなり、角を祝いのとき、円を略儀や通常の食事に用い、普通上面を朱漆、外側面・脚を黒漆に塗るが、全体朱漆塗りのものもある。また、『源氏物語』宿木(やどりぎ)の巻に紫檀(したん)の高杯が記され、蒔絵(まきえ)・螺鈿(らでん)で加飾したものもある。中央に高盛りの飯を置き、その周囲に菜をのせた食器で取り囲んで配しているのが、『伴大納言絵詞(ばんだいなごんえことば)』に描かれている。室町後期より茶懐石料理が普及するとともに折敷(おしき)が主流となり、祭器も三方にその地位を譲った。数(かず)をなん本という。また高坏を逆さにして、底(土居(つちい))の上に火皿を置き灯台の代用にしていた。
[郷家忠臣]
高杯とも。坏の下に脚台がつく供献用の器。弥生時代には土器・木器で作られ,古墳時代以降は土師器(はじき)・須恵器・灰釉(かいゆう)陶器などによるものが現れる。土師器の高坏には蓋(ふた)がなく,丹塗りをした製品がある。須恵器には基本的に蓋がつき,初期には坏部に波状文や把手(とって)がつくものもあり,脚台部には,一般に長方形や三角形の透し穴装飾がつく。古墳から発見される例が多い。奈良時代以降には装飾は少なくなり,坏部の径は広く,脚台部は低くなる傾向がある。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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