改訂新版 世界大百科事典 「欧米植物群」の意味・わかりやすい解説
欧米植物群 (おうべいしょくぶつぐん)
Euramerican flora
約3億年前の古生代後期に,ヨーロッパ,北アメリカを中心に分布した植物群。主要な植物は小葉類の鱗木(りんぼく)Lepidodendron,封印木Sigillaria,有節類の蘆木(ろぼく)Calamites,シダ状葉のニューロプテリスNeuropteris,アレソプテリスAlethopteris,テニオプテリスTaeniopteris,カリプテリスCallipteris,ギガントプテリスGigantopteris,針葉樹類のコルダイテスCordaitesなど。シダ状葉はシダ類だけでなくシダ種子類が多数含まれている。鱗木,封印木,蘆木,木生シダなどの胞子で繁殖するシダ植物が20~30mと巨大な樹木となり,大森林を形成した。それらは大炭田となって残されている。それらの子孫は現在ヒカゲノカズラ,トクサ,シダなどの小さな草本となって残っているが,これは何十年でも休みなく生長できる当時のゆるやかな冬のない気候から,冬は生長を休止せねばならない,きびしい現在の気候に移り変わったことを示している。
執筆者:浅間 一男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報